日本最大級の中国フェスティバル「中国春節祭」が愛知県名古屋市の久屋広場で、1月5日から4日間の日程で開催された。
中国春節祭は、春節を共に祝うことで、日本と中国との交流を更に深めようと毎年開催されており、新型コロナウイルス流行前の2019年には21万人の来場者を記録している。今年も会場には、中国全土のグルメを堪能できる屋台が数多く立ち並び、また獅子舞、雑技、少数民族舞踊などステージ上でのパフォーマンスに会場は大いに盛り上がった。
その中でも、開幕式の直後に披露された琵琶による「シルクロード」の演奏は、澄み渡る青空の下、観客から大きな拍手があがった。
その演奏を行ったのは、琵琶奏者の涂善祥(と・ぜんしょう)さん。これまでに、ニューヨーク・カーネギーホールをはじめ、中国、イタリア、カナダ、フランス、ロシア、フィンランド、韓国、日本などでワールドツアーを開催。さらに2005年の『愛・地球博』では中国館の音楽顧問を務め、2022年には日中国交正常化50周年記念公演を開催した。そして2016年からは、中国河北省一帯一路文化交流音楽監督を務め、ヨーロッパを中心に18ヵ国でコンサートを開催し、ロシア国立交響楽団やチェコ・プラハフィルハーモニー管弦楽団など数多くのオーケストラとも共演。2020年1月にはマルタ共和国で国立交響楽団と共演し、ジョージ・ウィリアム・ヴェラ大統領から祝賀が送られるなど、琵琶奏者の第一人者として世界で活躍している。また、名古屋第一赤十字病院でのクリスマス慰問コンサートや阪神大震災、四川大地震、東日本大震災などのチャリティーコンサートを開催し、義援金や援助物資を現地に届ける活動も積極的に行っている。
中国春節祭で演奏した「シルクロード」は、作曲家の喜多郎さんが1980年放送のNHKドキュメンタリー『シルクロード』のテーマソングとして作曲。涂善祥さんと喜多郎さんは、奈良の薬師寺で開催された玄奘三蔵への奉納公演をはじめ、愛知県芸術劇場、北京展覽館劇場、上海大舞台、西安大慈恩寺大雁塔など国内外で18年間にわたり共演し、多くの人に感動を届けてきた。
そして今年は、新型コロナウイルスの影響により中断していた中国河北省一帯一路の文化交流も再開され、これから益々、涂善祥さんの奏でる琵琶の音色を聴く機会が増えそうだ。
インタビューの最後に、涂善祥さんは「中国語には、遠親不如近隣(遠くの親戚よりも近くの隣人)という言葉があり、中国と日本は隣国です。何かあれば対話し、これからも良好な関係を続けてほしいと思います」と語った。2000年以上の歴史を持ち奈良正倉院にも保存されている琵琶。古来より人々を魅了してきたその音色は、21世紀、涂善祥さんによって受け継がれ、2024年も友好の音色として中国、日本そして世界の人々に届けられる。
(中国経済新聞)