札幌でチャイナフェスティバル&中国語スピーチコンテスト開催(その1)

2023/10/22 18:14

10月21-22日、札幌の市街地中心部で「チャイナフェスティバル」が開催された。

 

▲フェスティバル会場のゲート。札幌駅から5分ほど近いところで、まさにビジネスや商業の中心地での開催である。

このイベントは昨年に引き続き2回目である。北海道は、中国人の訪日客にとって文句なしの人気NO.1の目的地であったが、コロナ禍で観光業界も壊滅状態となってしまった。それから徐々に経済活動を回復していった昨年、現地の日中友好協会が改めての盛り上げを目指して開催にこぎつけ、好評を博したことから、今年も実行の運びとなった。

昨年同様にステージも設けられ、主催者である来賓の挨拶が行われた。

▲開催に尽力した現地総領事館の代表や札幌市副市長などによるテープカット。

当日は肌寒い空模様だったが、檀上に立った来賓がそれぞれ、両国の人的交流を一段と深めたいという力強い思いを述べた。

その後、早速ステージでパフォーマンスが披露された。

▲和太鼓の演奏。とどろくボリュームが印象的だった。なおステージの後方は北海道庁で、現在改修工事中である。見えているのは外壁を覆うカバーに描かれたイラストであり、本物ではない。

ところでこの日は、会場から徒歩10分ほどの文化施設で「中国語スピーチコンテスト北海道大会」も開催された。

▲スピーチコンテストの様子。高校生から社会人までおよそ30人が中国語の朗読や演説を披露した。大きなホールには若者を中心にかなりの来場者が見られた。

私は北京在住中、日本語教師を都合7年間ほど経験し、幾度か日本語スピーチコンテストを見学した経験がある。中国では想像以上に日本語学習者が多い。英語以外の外国語を中国語で“小语种”(=マイナー言語)と言うが、その中では日本語の学習者が圧倒的に多かった。現地の若者に「日本語はもう“小语种”とは言えない」と真顔で言われたことを思い出す。

今回で41回目というこの大会は、地方での開催とあって実力的にはやや低調だったが、道内のかなり遠方からの参加者もいて、地味ながら懸命に中国語を勉強している様子もうかがえた。

なおステージ上の横断幕にある大会名を揮毫したのは、こちらの人物である。

▲書道家の小野緑風さん。北海道日中友好協会の会員仲間である。

小野さんは札幌で書道のプロとして活躍し、安徽省で個展を開催した経験もある。以前に食事会で同席し、“湖笔”という中国の貴重な筆を探し歩いた経験を熱っぽく語ってくれた。

日本でも、やはり中国語は“小语种”であるが、世界的には英語を母語とする人口よりも中国語人口の方が圧倒的に多い。「世界的に通用する言語」はもちろん英語だろうが、外国語として半ば強制的に学ばされている人が多いから、というのがその理由だろう。中学生のころからそのように感じていた私は、日本も中国語学習に一段と力を入れるようになると信じていた。しかし現実的には、国際関係などが背景で、国を挙げて中国語を普及させるわけにもいかないのだろう。

こうした複雑な思いを抱えて会場を後にし、再びチャイナフェスの会場に戻ると、賑やかな光景も広がっていた。

▲中国式「獅子舞」。

午後は冬型の気圧配置が強まり、にわか雨が降りそうな天気になった。イベント開催期間は2日間であり、会場の詳しい様子は引き続き次号でお伝えする。

なお中国語で、札幌の“札”の発音は、辞書では「zha」の2声となっているが、実際には「zha」の1声で発音する。ちなみにウナギは“鳗鱼”といい、“鳗”の字は辞書では「man」の2声になっているが、現地の人は国営テレビのアナウンサーも含めてすべて4声で発音していた。

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【筆者】森雅継、東京都出身、早稲田大学商学部卒。北京在住歴17年で中国人の妻との間に2児、現在は家族4人で北海道札幌市に在住。