警視庁は1月27日、東京で民泊を営業していた中国人2人を「住宅宿泊事業法」(民泊新法)違反の疑いで書類送検した。取り調べ内容は東京地方検察庁に送付されており、2人を起訴するよう求めている。
2018年6月に「民泊新法」が施行されて以来、違反者の摘発は今回が初めてである。民泊業界への規制が一段と厳しくなったことの表れであり、中国人による民泊の営業に警鐘を鳴らすものである。
警視庁保安課によると、摘発した2人は東京都新宿区にある民泊の運営管理会社「K-carve life」の代表取締役社長の男(34歳)と取締役の女(32歳)で、同社も法人として同じく書類送検した。警視庁は送検の際に検察庁に対し、起訴するよう強く求める「厳重処分」が望ましいとの意見を添えた。したがって今回の件は罪が重くなり、容疑者が刑事処罰を受ける可能性が出てくる。

警視庁によると、2人は2024年6月から7月にかけ、東京都荒川区西日暮里にある一戸建住宅で49日間にわたり客を宿泊させていたが、8月に荒川区役所に届け出をした際に「土日・祝日の8日間のみ宿泊させた」と虚偽の届け出をしていた。近隣住民からの苦情も出ており、49日間連続で宿泊させたことが「地元住民に迷惑がかからないように営業日は土日・祝日のみとし、平日の宿泊は不可」という区役所の民泊管理条例に違反した。さらに、荒川区は同年12月に2人に対し、違法行為を正すよう業務改善指示を発していたが、それにも従わず営業を続けていたという。
「民泊新法」とは、短期宿泊施設を営業する際の適正なルールとして定められたもので、年間営業日数は180日間までとした上、地方自治体が現地の状況に応じてより厳しい条例を定められる。東京都荒川区の場合、生活環境の悪化(騒音、ごみ問題など)を防ぐために平日の営業を禁止している。今回摘発された会社はこの規定を無視していた上、宿泊客に対して「区役所の立ち入りがあった場合は詐欺だと思って相手にしないこと」と書いた貼り紙を建物内に掲示していた。こうした「処罰逃れ」という小細工が、結局は法に裁かれたのである。
摘発された「K-carve life」は、都内の5つの区でおよそ20軒の民泊施設を営業するなどかなりの規模を有し、2022年3月から現在までの売上高は4億4000万円(約2000万元)にのぼっている。ただしこの収入はほとんど、違法行為で得たものである。平日に営業すればビジネス客や短期の旅行者を受け入れていち早く稼げるが、「平日は営業禁止」という自治体の規定に反しており、取り締まりの重点対象とされている。
民泊新法が施行されて7年あまり過ぎたが、違法者に対する処分はこれまで行政処罰(罰金や営業停止など)が中心であって、刑事問題になることは少なかった。今回警視庁が強い対応をとったのは、通報の記録や宿泊報告との比較、そして本人の供述によって、違法が鮮明となる確固とした証拠を得たことによるものだ。また、民泊業界に対して強い態度で取り締まりするという政府の姿勢も反映されている。
日本では、民泊は中国人が営業しているケースが多く、おおむね不動産投資や起業への手段と見られている。それに宿泊者の多くは中国人観光客であり、決済もWechatやアリペイで実行するので税金逃れにつながることが多い。大阪府では、府から営業許可証を交付されている中国人の民泊施設が3000軒以上に達している。
民泊の営業は一見、たやすいように見える。マンションまたは一戸建を1、2軒購入して登記後、専用アプリを通じて宿泊させればすぐにお金が手に入る上、これによって「経営管理」ビザの取得にもつながる。しかし日本の法体系は厳密であり、民泊を営むには様々な規制を受ける。全国規模である民泊新法のほか、地方自治体の条例も存在し、これらに違反した場合は罰金や営業免許取り消しといった処分を受ける上、刑事責任を問われたり、最悪の場合は在留資格(ビザ)を失ったりする。
1月23日、内閣で「外国人受け入れ総合的対応策」が取りまとめられ、政府は民泊を外国人コミュニティーにおける取り締まりの重点対象としている。日本で暮らすのは大変なことであって、特に家族そろって家に住む場合は、面倒な事態を招かないよう十分に気を配らなくてはいけない。
したがって、民泊の営業者に対し、必ず法律を守るように改めて注意を促しておきたい。まずは地元の条例を覚え込むことで、登記する前に自治体のホームページに目を通したり専門の弁護士に相談したりして、設備を営業の条件や消防基準、衛生ルールに沿ったものとする。次に正直に報告することで、自治体に提出する運営報告は必ず事実を記載し、不正行為があればすべて詐欺だと受け止められる。それから近隣住民に配慮することで、騒音やごみの問題はすぐに対応して、苦情が殺到しないように住民と意思を疎通させる場を設けること。そして最後に、合法的に営業することで、手を広げたいのであれば「法の抜け穴」を狙わず、営業日数の延長を届け出たりホテルの営業に転換したりするなど、法的な手段を講じることである。
日本の取り締まりは「初めは緩く後で厳しく」との原則があり、ひとたび目を付けられると情け容赦なく徹底的に調査される、ということを覚えておくべきだ。単なる「小細工」に見えた今回の「K-carve life」の一件も、社会的には法律を無視した「非常識な行為」となる。会社の売上高が十分で利益も多くても、結局は巨額の罰金を課せられて営業停止となり、あるいは刑務所行きとなるなど、割を食ってしまうのである。
(文:徐静波)
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【筆者】徐静波、中国浙江省生まれ。1992年来日、東海大学大学院に留学。2000年、アジア通信社を設立、代表取締役社長に就任。翌年、「中国経済新聞」を創刊。2009年、中国語ニュースサイト「日本新聞網」を創刊。1997年から連続23年間、中国共産党全国大会、全人代を取材。2020年、日本政府から感謝状を贈られた。
講演暦:経団連、日本商工会議所など。著書『株式会社中華人民共和国』、『2023年の中国』、『静観日本』、『日本人の活法』など。訳書『一勝九敗』(柳井正氏著)など多数。
日本記者クラブ会員。
(中国経済新聞)
