中国自動車メーカーの東風集団は8月14日、2023年上半期の純利益が前年同期よりおよそ75%ダウンの見込みと発表した。
業績が落ち込んだ理由について東風は、新エネ車へのシフト加速へ高級ブランドを確立し、プラットフォーム、商品、基幹部材、コア技術への投入を続けたほか、外資系メーカーの大衆車のシェアが伸び悩んだこと、また商用車の回復が遅れたことで、これらの分野で利益が後退したという。
自動車メーカーの多くはスマート型EVへの多額の投資で利益が大幅ダウンしており、上半期の業績見込みを発表した17社はおしなべて利益ダウンとなっている。新エネ車へのシフトや激化する価格競争がその要因である。
東風の場合、2022年の決算を見ると、年間売上高は121.9億元(2435億円)で、前年の155.5億元(3106.5億円)から21.61%減、株主帰属の純利益は2.85億元(56.9億円)で、同じく前年の3.72億元(74.3億円)から23.31%減であった。
2023年上半期も歯止めがかからず、8月9日の香港証券取引所での発表によると、2023年1~7月の販売台数合計は110.9万台で前年同期比24.7%減、親会社である東風汽車集団の販売台数合計は同じく27.4%減の125.5万台であった。
公開資料によると、今年上半期の自動車販売ランキング上位10社のうち、台数が減ったのは東風と上汽集団の2社のみであり、このうち東風の落ち込み幅は上汽の20ポイント以上であった。
ただし東風は、利益ダウンに見舞われながらも投資を続ける方針である。2022年末に、新エネ車への戦略的配置として「モデルチェンジ3年行動」(2023-2025年)を策定した。外国との合弁事業への依存から、合弁および国内事業の両立へ経営転換を果たすことが狙いである。目標としては2025年までに国産乗用車と海外合弁車の販売割合を1:1とし、主にガソリン車を省エネ車や新エネ車にシフトさせるほか、2024年に国産乗用車の主力ブランドの新車を100%EV化し、2025年には新エネ車の販売台数を国産ブランド全体の50%、国産乗用車ブランドの70%とする。
こうした新エネ車へのシフトの担い役の一つが、高級スマートEVの「嵐図」であり、2023年7月の納入台数は前年同月比で90%増の3412台となっている。東風汽車は、引き続き新エネ車や材料工程などの研究に力を入れるべく、向こう3年間で500億元(9988億円)を投じる予定である。
(中国経済新聞)