昔の中国の夏場養生法——香珠を身に着けて

2023/06/25 10:00

蒸し暑い夏をどのように乗り切るか。

昔の人は、暑さや湿度をやわらげ、胃を刺激し眠気を覚ます漢方薬を使って、香珠をこしらえていた。

熱いと元気がなくなり、眠くなり、イライラするが、この匂いを嗅げば眠気も覚め、集中力が出てくる。

清の時代に記録された雍正帝の「暑さ除け数珠」の作り方を説明する。昔の人がどれほど工夫していたか見てみよう。

作り方:コウジュ50グラム、アマギク100グラム、オウバク25グラム、オウレン25グラム、レンギョウ50グラム、ビャクシ35グラム、透明朱砂粉末25グラム、透明雄黄粉末25グラム、ビャクキュウ粉末15グラム、ビャクダン香50グラム、花石粉末50グラム、センキュウ粉末50グラム、寒水石粉末50グラム、梅の花びら50グラム、蘇合油5グラム、水安息5グラム、バラの花弁粉末。以上を粉状に混ぜ合わせる。

昔は、夏は香りがないと失礼に当たった。その理由として、蒸し暑さ除け以外に3つの効能があったからだ。

一、汗臭さ防止

夏場は汗が出るので、香料により汗臭さや体臭を防いだ。暑い時は部分的に匂いを発するので、香珠を嗅げばそれが和らげられた。

香珠は普通の薬玉ではなく、配合に工夫がなされており、通常は高貴なものとして竜脳香、沈香、蘇合香など上等の香料が使われていた。

蘇東坡は花蕊夫人をこう例えた——

「つややかな肌、汗もなくさっぱり」。

汗臭さがまるでない、それは美人の基準なのであった。

二、流行病の予防

ウイルスが活発になる夏場はしばしば疫病(伝染病)が発生する。昔の人は香薬で疫病が防げることを発見し、夏場の必需品としていた。

いい香りで湿度を抑え、空気もきれいになって体の免疫力も高まる。香薬による疫病やウイルス除け、それは有効な方法として実証されていた。

現代では、香薬の匂いが鼻の粘膜を刺激し、抗体の含量が増えてウイルスへの抵抗力が高まることが、研究により証明されている。

三、蚊よけ

薬香は殺菌や虫よけになる。これを嗅いだ蚊は後ずさりし、空気もきれいになって、さながら家庭用除菌剤である。香り袋に、匂いのある辛香や蚊は嫌うが人体に有益な漢方薬を入れておくと、蚊が遠ざけられる。

昔、香珠は主に貴族のみが身に着けていた。高価な香料を使い、作り方も面倒で、秘密の配合もあったことから、お金があっても作れないこともあった。

香珠も優雅なアクセサリーだった。しばらく身に着けると表面が次第に丈夫で滑らかなものになり、においも人それぞれに変化して、独自の残り香ができる。

このような変わりようを静かに味わい、感じとる。これも一種の「神養」であり、心を清めるものである。

心が静まれば自ずと涼みゆく。

(中国経済新聞)