「コミュニケーション障害(以下、コミュ障)」が若者の悩みとして広まっている中、中国のSNSでは最近、「超社交的」が突如検索のトレンド入りした。心理学の専門家は、「超社交的であることで、相手に圧力を与えてしまう可能性がある。一定の距離を保った付き合いというのが、正しい付き合い方」とアドバイスしている。
「コミュ障」とは逆の「超社交的」とは、人付き合いを全く苦にせず、誰にでも明るく接する人のことだ。最近、「超社交的」が検索のトレンド入りしているのは、ネットドラマ「雲南虫谷」に登場する王凱旋が、誰とでもしゃべり、人付き合いを全く苦にしないキャラで、同ドラマの「見所」となっているからだ。
その点、「コミュ障」のネットユーザーからは、「あふれる自信を感じる」、「自分にそういうスキルがあれば、人付き合いも無敵。周りにそういう家族や友人、パートナーがいれば、自分も楽しく暮らせる!」と、羨むコメントが寄せられている。
人付き合いにおいて「距離」が全く問題にならない今の時代において、多くの人はインターネットを通じて、自分の「友達の輪」を作っている。それでも、多くの人は依然として、現実の世界の中でも、息の合う人と一緒に楽しく過ごすことを切実に望んでいる。
では、「超社交的」というのはそれほど魅力的なのだろうか?中国国家二級心理カウンセラーで、南京市の小・中・高のカウンセラーとして登録している韓寧さんは取材に対して、「適度な社交スキルは必要。しかし、超社交的となると、過度に社交的すぎるのかもしれないので注意が必要。ただ、それを一種の疾患と見なすことはできない。敢えて疾患の一種に加えるというならば、社会的感情認知欠乏症だろう」との見方を示す。
韓さんによると、過度に社交的な人というのは、誰に会っても、とても親しげにしゃべるほか、仲良くなれない人はいないような人のことだ。その種の人は、非常に熱心で、進んで人助けをする。しかし、手助けする際には、やり過ぎることがあり、相手にとってはおせっかいになってしまったり、他人に警戒心や、深刻な場合は恐怖さえ感じさせてしまうことがある。
ここで留意すべきなのは、そのような人は「空気を読む」能力に欠けていて、交際したり、交流したりしている相手が言葉やしぐさを通じて表す感情の変化を察することかできないという点だ。つまり、話している時に、相手の顔の表情やしぐさ、口調に含まれているメッセージを読み取ることができないのだ。
過度に社交的になるには複数の原因があるだろう。一番多いのは、孤独になったり、他の人に受け入れてもらえないことを心配したり、誰にでも好かれたいと思ったりしていることだ。心で感じていることが、「過度に社交的」という行動になって表れてしまい、歓心を買おうとするタイプとなってしまうのだ。
では、どんな付き合い方が正しいのだろうか?韓さんは、「一番わかりやすい基準は、自分と他の人の利益を損なっていないかという点だ。あまりに積極的で、他の人の普段の状態を乱したり、熱心になりすぎて、他の人の生活のリズムを乱したりすることがあってはならない」とアドバイスする。過度に社交的になると、冷たい態度で相手を傷つける「冷暴力」とは反対に、あまりに積極的に交流しようとする態度で相手を傷つける「熱暴力」になってしまうかもしれない。
(中経・李耕)