濰柴、世界初の高出力金属支持型SOFCの商用製品を発表

2023/04/6 12:07

2023年2月18日、濰柴は世界初の高出力金属支持型SOFC(固体酸化物形燃料電池)の商用製品を発表した。この製品のコージェネレーション総合効率は92.55%と高く、高出力SOFCシステムにおけるコージェネレーション総合効率の世界最高記録を作った。

発表会では、内燃機関・動力システム国家重点実験室の主任である譚旭光(Tan Xuguang)氏により、濰柴SOFC製品技術及び応用状況について紹介された。国際的に権威あるドイツの第三者試験認証機関であるテュフズードグループは、濰柴に当該製品のコージェネレーション総合効率が92.55%に達したことを認定し、EUのCE認証証明書を授与した。中国工程院院士・山東省科学技術協会の凌文(Ling Wen)主席より発言し、中国工程院院士蘇万華(Su Wanhua)氏、中国科学院院士劉維民(Liu Weimin)氏、中国科学技術大学党委員会書記舒歌群(Shu Gequn)氏等専門家の方々が現場でこの歴史的な瞬間に立ち会った。

   SOFCの商用製品発表会

ハードコアイノベーション

世界の効率限界を破る

SOFCは次世代の燃料電池として、中高温で燃料の化学エネルギーを直接に電気エネルギーに変換する発電設備であり、効率的かつ低炭素で環境にやさしいことが特徴である。現在、世界最高の発電効率を実現している新エネルギー技術である。その発電効率は60%以上、コージェネレーション総合効率は85%以上に達していることに加えて、柔軟に燃料を選択できる、グリーンで低炭素、貴金属を使用しないなどの利点がある。そして、天然ガス、水素、石炭ガス、バイオマスガス、メタノールなどの燃料を使用でき、従来の天然ガス発電設備より30%以上の炭素を削減できる。

濰柴は2018年からSOFC事業を展開し、世界をリードするSOFCテクノロジー企業である セレスパワー(Ceres Power)に戦略的に投資し、筆頭株主になった。これまでに総額20億元(約396億円)を投資しており、両社は100人の博士からなる研究開発チームを設立した。5年間の努力を通じて、SOFC技術のブレークスルーを実現し、次世代SOFCのコア技術を把握できた。

この度、濰柴が発表した世界初の高出力金属支持型SOFCの商用製品は、システムの出力が120kWに達し、モジュールの形での設置に対応している。また、出力をメガワットまで拡張できるので、重要な技術のブレークスルーを実現した。

一、製品のコージェネレーション総合効率は92.55%に達し、高出力SOFCシステム領域において世界をリードしている。

二、世界初で次世代の金属支持型SOFC技術を採用し、従来の電解質支持型およびアノード支持型技術と比べて、作動温度が低く、耐熱衝突性が強いというメリットがある。特に作動温度を800℃から600℃にする技術課題を克服し、システムの起動・停止回数は海外競合品の4倍以上、起動速度は海外競合品の3倍以上であり、世界トップレベルに到達している。

三、国際的に権威あるドイツの第三者試験認証機関であるテュフズードグループのEU・CE に認証され、39項目の認定試験を完成した。

デュアルエンジン駆動

未来エネルギーの新たな幕が開く

新たな技術革命と産業変革の深化に伴い、グローバルのエネルギーシステムと成長モデルは大きく変化しつつある。中国は、「ダブルカーボン」戦略と「第14次五カ年計画」の両方において、再生可能エネルギーの開発を加速し、分散型発電とマイクログリッドの建設を促進する必要があると明確に述べている。

中国の装置製造業界のリーディングカンパニーとして、濰柴は従来のエネルギー + 新エネルギーの「デュアルエンジン駆動」戦略を一貫している。昨年に、世界初の本体熱効率51%、52%のディーゼルエンジンを相次ぎ発表した。同時に、新エネルギー事業を積極的に推進し、国家燃料電池技術イノベーションセンターの設立をリードし、車載電池・水素燃料電池・固体酸化物形燃料電池の三大新エネルギー技術を展開して、水素燃料電池分野におけるコア技術と産業化の世界リードを実現した。SOFCは、濰柴がエネルギーの多様化成長において新しい戦略的な布石となる。

濰柴がこの度に発表したSOFC製品には、高いコージェネレーション総合効率、高信頼性、幅広い燃料適応性、安定な電力エネルギー出力などの利点があり、工業団地、ビル、データセンターなど様々なケースに適している。さらに分散型エネルギーとマイクログリッドに向けて、環境に優しく低炭素なソリューションを提供でき、将来的に広く使われる革命的な新エネルギー技術である。

濰柴SOFC製品は、濰柴燃料電池産業パークと濰坊能源集団で実証されており、合計3万時間以上稼働し、商業化運営において段階的なブレークスルーを実現した。濰柴SOFC製品は、電気エネルギーと熱エネルギーを効率的に供給し、顧客のエネルギーコストを大幅に削減できる。濰坊能源集団濱投分散型エネルギー有限公司の副総理である尹波氏によると、濰柴SOFC製品は実際の運用における稼働安定性が高く、正味発電効率は60%を超えており、1 立方メートルの天然ガスは6キロワット時の電力を生成できる上に、ピークバレー電力価格に基づいた調整やピークカットが可能であり、費用対効果が非常に良い、と述べた。

   濰柴デュアルエンジン

推定によると、濰柴SOFC製品は分散型エネルギーとしての設置容量が1GWに達すると、電力網の発電より年間約200万トンの二酸化炭素を削減でき、従来の天然ガス内燃機関発電ユニットより約6億立方メートルの天然ガスを節約できる。バイオマスガスとグリーン水素を燃料として利用すれば、二酸化炭素排出ゼロを達成でき、国のダブルカーボンの目標達成に寄与できる。同時に、分散型エネルギーとマイクロ グリッドの斬新なソリューションとしての濰柴SOFC製品は、電力供給の安全性を保証できるだけでなく、濰柴動力に今後の発展のためのノウハウ蓄積と新業態を一変する実力をもたらしてくれた。世界のエネルギー分野における革命的なイノベーションとして、SOFCの大規模な応用は確実に著しい経済的、社会的利益をもたらすだろう。

(中国経済新聞)