中国の不動産サービス大手・易居集団(イーハウス・チャイナ・ホールディングス)が4月19日夜、この日期限となった3億ドル分の手形が不渡りとなり、一昨年にアリババが購入した10億元分の株式転換手形もクロスデフォルトとなったと発表した。不動産26社の株主である易居はピンチに立たされてしまった。
易居は、恒大グループが経営難に陥ってから、苦しい状態が続いている。
3月の最終日に発表した会計監査前の去年1年間の業績報告によると、売上高88億元(約1707億円)で93億元(約1804億円)もの赤字を記録した。不動産企業からの確認済み未返済費目の合計額が1.7億元から66.6億元(約1292億円)に増大したことがその最大要因である。
不動産業界が倒れたことで、易居の基幹業務も輝きを失う。
易居集団の創業者朱旭東
易居は2020年に同じく不動産の楽居と合併し、代行・マネジメント業務におけるGTV(取引額)は5100億元(約9兆8958億円)あまりとなったが、去年は1000億元減少した。売上高を見ると、楽居によるデジタル関連の34億元分を除いた易居自体の分は前年よりおよそ30億元(約582億円)も減少している。
易居は去年の末から、コスト削減に向けて規模を縮小している。東北地区で不採算もしくはコストのかかる事業から撤退しているほか、南東部や広東省・香港などベイエリア地区では、恒大、富力、奥園など不動産各社の資金問題が相次いだことに肝を冷やし、新築の小売り業務は国有企業のみを対象とすることとなった。
易居は第一四半期の目標として、業績ではなく資金回収を第一とした。つまり、この間に普通に営業ができればどうにかしのげる、ということである。
しかし、コロナによりその狙いは崩れ去った。本社オフィス内で3月2日に感染者が確認されてしまい、55日間も閉鎖されている。易居はおそらく、上海のコロナ禍で閉鎖期間が最長の会社であろう。
こうした災難は易居だけが被っているわけではない。中国全体で4月26日現在、全域もしくは部分的にロックダウンしている都市が45か所あり、これらの人口を合わせると3億人余りとなる。