8月26日午前、ネパールと中国の国境付近で大規模な土石流と鉄砲水が発生し、両国で甚大な被害が出ている。発生時刻は日本時間で午前11時30分ごろ、ネパール時間では午前8時40分ごろとされる。
中国側では、チベット自治区シガツェ市キルン県(吉隆県)の国境拠点・キルン口岸(吉隆口岸)が直撃を受けた。新華社などによると、現地前線指揮部の26日午後8時時点の速報では、死者3人、安否不明265人が確認された。死傷者の総数はなお精査中という。口岸へ向かう道路、通信、電力は一時寸断され、泥流の厚さは約1.5メートルに達したとの報告もある。口岸付近の建物や車両が濁流にのまれる監視カメラ映像が拡散した。
習近平国家主席は、行方不明者の捜索を最優先とし、二次災害の防止を指示した。チベット自治区応急管理庁は車両152台、人員792人を派遣。消防救援総隊も車両72台、隊員431人を投入し、探知機や救助犬、ゴムボートを現場へ運んだ。財政部と応急管理部は中央災害救援資金1億2000万元を緊急拠出した。現地では26日から雨が続き、山崩れや土石流の再発リスクが指摘されている。

ネパール側の被害はさらに大きい。被災の中心はバグマティ州ラスワ郡で、ボテコシ川沿いのシャプルベシ、ティムレなどが濁流に襲われた。ネパール警察の発表では、27日未明までに国内で157人の死亡が確認された。中国側の死者3人を合わせると、国境一帯の確認死者は少なくとも160人に上る。ネパール観光局は旅行者を中心に384人が行方不明と発表し、うち外国人が291人、ネパール人が93人とした。別の集計では不明者は400人超との数字もある。
不明者には、カイラス山やマナサロワール湖へ向かう巡礼客が多く含まれる。国籍別ではインドが最多で、米国、英国、オーストラリア、マレーシアなども報告されている。水力発電所、橋、道路も流失し、治安当局の隊員数十人も連絡が途絶えた。ヘリコプターは水位が高く、すぐには着陸できない地点があった。
原因は確定していない。ネパール外相は議会で、午前8時37分ごろの地震が雪崩や斜面崩壊を誘発し、川をせき止めた可能性に言及した。ドイツ地球科学研究センターなどは、付近でマグニチュード4.4程度の地震を観測したと伝えている。上流にせき止めが残れば、再び出水する恐れもある。
日本との関係では、在ネパール日本大使館が27日、ツアー参加とみられる日本人5人と連絡が取れず、現地当局に捜索・救助を依頼したと明らかにした。
キルン口岸は中ネ間の主要な陸路貿易拠点であり、ラスワ郡はランタン方面の登山口でもある。昨年も同口岸付近で橋が流される出水があった。山岳国境では数字が日々変わりうるため、当局は二次災害に注意しつつ、捜索を急いでいる。
(中国経済新聞)
