協信遠創、1.4兆円の巨額債務を抱え再建へ 創業者・呉旭氏は完全退任

2026/03/31 12:25

中国不動産業界に衝撃が走った。かつて「渝派三甲」(重慶派トップ3)と称され、龍湖や金科と並ぶ存在だった協信遠創が、三つの資産管理会社(AMC)の強力な支援のもと、母子会社合わせて30社の合併重整を完了した。

2025年4月、重慶市第五中級人民法院は、重慶協信遠創実業有限公司および関連する29社の合併破産重整について裁定を下し、計画は順調に進められた。この案件は規模が極めて大きく、確認された債権総額は623億元(約1兆4410億円)、債権者数は4796社に上る。不動産企業重整の事例の中でも、近年まれに見る巨額かつ複雑なケースとなった。

この巨額債務の下で重整が成功した背景には、AMCの深く積極的な関与があった。中信金融資産、蘇州資産、華潤渝康の3社が、「出資者+再編アドバイザー+資産活性化者」という多重の役割を果たした。彼らは共益債投資、債務再編、資産処分という三つの主要手段を通じて、資金面と専門的な支援を提供した。

資金面では、共益債の形で協信遠創に資金を注入。これにより、重整期間中の事業運営、プロジェクトの継続建設、さまざまな必要支出を賄い、司法手続きの中で資金繰りが途絶えることなく正常な運営を維持した。これにより、破産清算への転落を回避することができた。

債務処理では、期限延長、金利引き下げ、債務株式化などの柔軟な手法を活用し、一部の金融負債を再編。短期的な返済圧力を大幅に軽減した。

一方、短期的に処分が難しい資産や価値実現に時間を要する資産については、独自の工夫として「5年期重整サービス信託」スキームを創設した。既存資産を信託にまとめて投入し、専門機関が長期的に管理・運営・処分を行い、段階的に現金を回収。その回収資金をあらかじめ定められた順序で債権者に弁済する仕組みである。

具体的には、3万元(約69万円)以下の小口普通債権については、裁判所が重整計画を承認した日から6ヶ月以内に現金で全額弁済。一方、3万元を超える普通債権については、一部を一定割合で現金弁済し、残りは信託受益権の形で保有させ、将来の資産処分益から按分して分配する。

この仕組みは、小額債権者の保護と全体的な重整計画の実現可能性を両立させるものであり、現在の複雑な不動産企業重整の実務において、高い参考価値を持つと言える。

しかし、企業が存続し、債務リスクが徐々に解消される一方で、創業者には厳しい代償が伴った。協信を26年間率いてきた創業者・吳旭氏およびすべての初期株主にとって、この重整の結末は「株式ゼロ、資産ゼロ」であった。過去の経営責任を負う形で、完全に企業から退場することとなった。

この事例は、不動産業界の厳しい現実を象徴している。巨額の債務を抱えた企業であっても、AMCをはじめとする専門機関の関与と市場化された再編手法により「存続」の道が開かれる可能性を示す一方で、創業者や株主は、企業が資不抵債に陥った場合、優先されるのは債権者利益であるという厳しい原則を突きつけられた形となった。

(中国経済新聞)