「将来は一人一台のスマートフォンで、空や宇宙、さらには海中にも接続できるようにする」――。これは業界が描く第6世代移動通信システム(6G)の将来像である。現在、市場が特に注目しているのは、標準規格の統一時期、商用化の見通し、そして資本市場による支援の行方である。
3月9日午後、上海証券取引所は「6G:空・地・宇宙を結ぶデジタル基盤」をテーマに未来産業サロンを開催した。会合では、信科移動の首席科学者・孫韶輝氏が、世界ではすでに6Gの統一標準に向けた発展の道筋がおおむね固まりつつあるとの見解を示した。
国際電気通信連合(ITU)は2030年に6G標準を公表する見通しであり、商用化も同年前後になるとの予測が示された。
移動通信は約10年周期で世代交代を重ね、研究、標準化、製品化、商用化の各段階を経て発展してきた。中国は2018年に6Gの研究開発を開始し、2024年9月12日には3GPPが初の6G標準プロジェクトを正式に始動した。これにより、6Gは技術検証段階から標準化および産業化の段階へと移行した。
6Gは5Gに比べ、応用領域と技術構造の両面で大きな進化を遂げるとみられている。中国移動通信集団の首席専門家・童恩氏は、通信とセンシングの融合、人工知能(AI)と通信の融合、空・地・宇宙ネットワークの一体化という三つの応用分野の拡大を挙げた。6Gは通信、感知、計算、AIを高度に統合した次世代情報インフラであり、ソフトウェア化されたネットワーク機能を需要に応じて柔軟に構成することで、通信網を多様な産業能力を統合する基盤へと進化させる。これにより、従来の「万物接続」から、知能同士が連携する高度なネットワーク社会への移行が進むと期待されている。

6Gの発展においては、標準規格の統一が産業全体の進展を左右する重要な要素となる。業界内では、5Gに続き6Gでも世界統一標準が維持されることへの期待が高い。孫氏は、ITUの主導のもとで技術発展の方向性、応用分野、主要な需要について国際的な共通認識が形成されたと説明し、2030年の標準策定が重要な節目になるとの認識を示した。
一方、試験ネットワークの整備は実用化の進展速度を左右する。スペイン・バルセロナで開催されたMWCバルセロナでは、華為技術(ファーウェイ)、エリクソン、クアルコムなどの主要企業が6Gの技術発展ロードマップを公表した。クアルコムは2028年に6Gの試験的商用端末を投入し、2029年に商用段階へ移行するとの見通しを示している。
現時点で6G産業は、試験検証から技術実証段階へと移行する過渡期にある。本格的な商用化には至っておらず、業界別の試験導入、試験ネットワークの構築、5G高度化技術を活用した橋渡しといった段階が続いている。収益構造も、従来の通信設備販売中心のモデルから、基盤ソフトウェアの提供、運用保守サービス、データや計算資源、AI機能の提供といった中長期的な継続収益型モデルへの転換が進むとみられている。
また、5G高度化技術を基盤とする中間的な応用分野として、通信とセンシングの融合、低空域向けの高度通信ネットワーク、衛星と地上ネットワークの融合などが、当面の需要分野として注目されている。
端末分野においても変化が見込まれる。業界関係者によれば、6G時代に大きな発展が予想されるのは、スマートグラス、インターネット接続車、人型および身体型ロボットの分野である。人工知能を搭載した自律型端末の普及が、通信の生態系全体に大きな変革をもたらす可能性がある。
童氏は、6Gが社会にもたらす主な変革として、通信性能の飛躍的向上、多要素の融合、サービス提供の需要対応化、空・地・宇宙の統合的通信網の構築という四点を挙げている。超高速通信、超低遅延、多数同時接続の実現に加え、通信、感知、計算、AI、データ、安全技術の統合が進むことで、産業分野ごとに最適化された柔軟なネットワーク運用が可能になる。また、衛星通信や無人機通信、可視光通信など多様な接続方式を統合することで、地球規模で途切れない通信環境の実現が期待されている。
もっとも、6Gの商用化には依然として多くの課題が存在する。応用需要の不透明さ、技術進化の不確実性、国際標準統一の難しさ、産業基盤能力の差、商用化時期の見極めなどが主な課題として挙げられる。さらに孫氏は、標準規格および周波数の国際協調、導入・運用コストの抑制、産業生態系の相互接続性、安全保障および法規制への適合という四つの制約要因を指摘している。
6Gは先端性が高く、投資回収までの期間が長いうえ、複数の産業分野にまたがる融合型技術である。このため、産業界からは資本市場による長期的かつ安定的な支援を求める声が強い。孫氏は、6G分野を重点支援対象に指定すること、関連企業向けの情報開示制度を整備すること、標準化・試験・製品化・商用化の各段階を反映した多面的な評価体系を構築することを提案している。
(中国経済新聞)
