上海空港総経理、就任わずか9カ月で謎の辞任

2025/10/27 18:20

上海空港集団有限公司は10月24日、取締役兼総経理の黄錚霖氏が「個人理由」によりすべての職務を辞任する旨の重要公告を突如発表した。就任からわずか9カ月での異例の退任に、市場関係者や業界関係者の間で憶測が飛び交っている。

黄氏(1977年4月生まれ)は今年1月26日に総経理に就任。上海空港集団の人事部長、党委書記、副総経理を歴任し、社内昇進のエリートコースを歩んできた人物だ。2024年年報によれば、税前報酬は102.67万元(約2000万円)で、経営陣トップクラスの待遇を受け、4.7万株の株式も保有していた。

しかし、辞任発表直前から黄氏の動向に異変が報じられていた。複数の関係者によると、最近数日間は姿を見せず、重要な「北外灘国際航空フォーラム」にも欠席。携帯電話も不通状態が続いているという。こうした状況から、「単なる個人理由」との説明に疑問の声が上がっている。

上海空港集団は浦東・虹橋の2大国際空港を運営し、実質的な支配者は上海市国資企業管理委員会。国内4大上場空港会社の中で売上高・利益率ともにトップを誇る「航空界の巨頭」だ。総経理ポストは戦略の中枢を担うだけに、今回の「電撃交代」には深い背景があるとの見方が強い。

後任については、副総経理の李政佳氏が暫定的に総経理職務を代行する。公告は簡潔で、辞任後の黄氏の去就については一切触れられていない。

業界関係者は「9カ月での辞任は極めて異例。国資系企業では通常、少なくとも1~2年の実績評価を経てから人事異動が行われる」と指摘。市場では「業績不振」「内部調査」「上層部との対立」など様々な憶測が飛び交っているが、公式な説明は依然として「個人理由」のみだ。

上海空港集団の株価は公告翌日の取引で一時2%以上下落。投資家は今後の経営体制の安定性に注目している。

(中国経済新聞)