甘粛省の幼稚園で233人の幼児に血中鉛異常が発覚——食品に使用された“絵の具”が原因

2025/07/15 12:15

2025年7月初旬、中国西部・甘粛省天水市で起きた前代未聞の幼児鉛中毒事件が、中国全土に衝撃を与えている。

問題が発覚したのは、天水市麦積区の「褐石培心幼稚園」。7月8日に天水市政府が発表した報告によると、同園に在籍する幼児251人のうち、実に233人の血中鉛値が基準値を超えていることが確認された。鉛中毒の主な原因とされているのは、園内で使用された“彩色絵の具”——この絵の具は、そもそも「食用不可」と明記されていたにもかかわらず、園の給食調理に使用されていたという。

事件の発端は、保護者たちが子どもたちの体調異常を訴え、血液検査を実施したことによる。その結果、多くの園児の血液から高濃度の鉛が検出された。調査によって、園長の朱某琳(女)と投資者の李某芳(女)が、厨房スタッフに対しインターネット経由で市販の彩色顔料を購入・稀釈し、クッキーやデザートなど一部の食品に色づけ目的で使用することを許可していたことが判明した。

公安部は7月3日未明、園側が隠していた残留顔料を押収。検査の結果、この顔料には高濃度の鉛が含まれており、有害物質として分類されるものであった。事件に関与したとされる朱某琳・李某芳を含む8名が、「有毒・有害食品の製造罪」で刑事拘留され、他の2名についても保釈下で調査が進められている。

この事件の重大性に鑑み、7月12日夜には甘粛省の共産党委員会および省政府が合同で調査チームを設立。調査は通常の地方対応ではなく、省委員会書記・胡昌升および省長・任振鶴という甘粛省のトップ二人が自ら陣頭指揮を執る「提級調査」として行われることとなった。

調査チームには、甘粛省紀律監察委員会、省教育庁、省公安庁、省エコ環境庁、省衛生健康委員会、省市場監管局などが参加。さらに、国家レベルからも生態環境部や国家衛生健康委員会の専門家、さらには国務院食品安全弁公室からも指導チームが派遣され、中央政府主導の重大案件として扱われている。

一方で、同市内の他の幼稚園——渭北幼稚園、慈愛幼稚園、蒙迪愛幼稚園の児童についても同様の検査が実施されたが、これらはすべて正常範囲内であり、事件の影響は「褐石培心幼稚園」に限定されているとされる。

中国では近年、学校や保育施設における食品安全問題が繰り返し社会問題となっており、今回の事件はその中でも極めて深刻な事例の一つである。今後、被害児童の健康回復支援、関係者の法的責任追及、幼児施設に対する全国的な安全管理強化など、多方面での対応が求められている。

(中国経済新聞)