2025年大阪・関西万博の開催を背景に、両国の関係深化を象徴する交流イベントが開催された。7月11日、大阪市内にて、「紹興—大阪」中日産業協力交流会と紹興黄酒「只此青玉」の試飲会が行われ、政財界の関係者が一堂に会した。

主催したのは中国浙江省紹興市。市長の呉登芬氏が自ら率い、多くの市政・企業代表団が来日。会場には日本側からも、日本衆議院議員であり第68代副議長を務めた海江田万里氏、大阪府議会副議長の紀田馨氏、大阪市経済戦略局の和田彩氏などが参加し、日中の政界・経済界の関係者による活発な交流が繰り広げられた。

呉市長は挨拶の中で、歴史と革新が息づく都市・紹興、都市としての特徴を簡潔に紹介した。「紹興は歴史文化の都であり、魯迅や王羲之など多くの偉人を輩出した。黄酒や真珠といった伝統産業は今もなお息づき、同時に新素材や低空経済といった新興産業の育成にも力を注いでいる」と述べた。
また、紹興は28か国57都市と友好関係を結び、国家レベルの越境EC試験区も有するなど、対外開放と国際化に積極的な都市であることを強調。日中間の新たな経済協力の可能性に期待を寄せ、「紹興の魅力を肌で感じ、産業と人文の交流をさらに深めてほしい」と日本側に呼びかけた。

海江田氏は、1977年に初めて紹興を訪問した当時の思い出を語った。「運河沿いを歩き、魯迅の故里や三味書屋を訪ね、黄酒工場を見学した。ウール帽をかぶった老人の姿がいまでも記憶に残っている」。歴史の町・紹興の印象は色褪せず、今も自身の中に息づいていると述べた。

紀田氏もまた、都市間交流の意義に触れた。「大阪と紹興はいずれも、独自の文化と産業を育んできた都市だ。経済のみならず幅広い分野での交流は、将来の友好関係の礎になる」。本交流会が、両都市ひいては日中産業界全体にとって、新たな協力関係構築の一歩になることを期待した。
今回のイベントは、大阪万博・中国館の「浙江ウィーク」の一環として位置づけられており、黄酒の香りに乗せて——文化がつなぐ産業の未来えをテーマに、「産業で共に栄え、文化で未来を築く」という中日双方のビジョンが体現された場となった。

会場では、紹興の文化観光や黄酒産業の魅力を伝えるプレゼンテーションが行われ、「只此青玉」ブランドの試飲会では、日本の来場者が空気中に漂う香りとその独特の風味に驚きの表情を見せた。また、中日企業による産業協力に関する契約の締結も行われ、実務レベルでの連携強化に向けた具体的な一歩も踏み出された。

紹興が黄酒の香りを通して示したのは、単なる地域のPRではなく、「共に創り、共に栄える」という誠意ある提案であった。それは、日本社会の中で改めて中国地方都市の実力と可能性を見直す契機にもなり得るだろう。
万博の舞台に立ち、紹興は今、新たな国際都市としての顔を日本に見せ始めている。
(中国経済新聞)