トランプ政権、ハーバードの留学生受け入れ禁止を決定、1365名中国人留学生の学籍を失う

2025/05/23 09:18

5月22日、米トランプ政権は衝撃的な決定を下した。名門ハーバード大学の外国人留学生受け入れ資格を停止するというのだ。新規の留学生だけでなく、現在在籍する約6659人の留学生も、転校しなければビザを失い、米国に滞在できなくなる。ハーバードに学ぶ1365人の中国人留学生、そして日本人を含む他の留学生にとって、これは突然の危機だ。

トランプ政権の今回の措置は、ハーバード大学に対する一連の圧力の集大成だ。国土安全保障省(DHS)のクリスティ・ノーム長官は、「ハーバードがキャンパスで暴力、反ユダヤ主義を助長し、中国共産党と協調している」と非難し、今回の決定を「全米の大学への警告」と位置づけた。具体的には、4月にDHSがハーバードに求めた、留学生の「違法かつ暴力的な活動」に関する詳細な記録の提出を大学が拒否したことが引き金となった。

ハーバードは、留学生が全体の約27%を占める多国籍な大学だ。2024年秋時点で、6659人の留学生のうち、中国人留学生は1365人で最多。学部生ではカナダ(159人)、英国(73人)に次ぐ3位だが、大学院では文理学院、デザイン学院、教育学院などで圧倒的な存在感を示す。特に大学院生1312人のうち、半数以上が中国出身だ。彼らの学費(学部生で年間約850万円)は、ハーバードの重要な収入源でもある。

この決定は、留学生だけでなく大学全体に深刻な打撃を与える。ハーバードはすでにトランプ政権による26億ドル(約3740億円)の連邦助成金凍結に直面しており、さらなる財政的圧力がかかる。トランプ大統領はハーバードの税免除特典の剥奪も示唆しており、大学は「憲法違反」として提訴に踏み切った。まさに、政権と大学の全面対決の様相だ。

今回の措置で最も影響を受けるのは、1365人の中国人留学生だろう。彼らは転校先を見つけるか、米国を去るかの二択を迫られている。ハーバードの学位は世界最高峰の学歴とされ、多くの中国人学生がキャリアの第一歩としてここを目指してきた。だが、ビザを失えば、学業は中断され、将来の計画も狂ってしまう。

中国人留学生の中には、ハーバードを「夢のゴール」と語る人が多かった。彼らは熾烈な競争を勝ち抜き、莫大な学費を工面して渡米する。ある学生は「ハーバードの学位は、家族全員の誇り」と話していた。その夢が、突然の政策変更で閉ざされるかもしれない。中国人留学生の約2割が学部生だが、残りは大学院生で、研究や専門分野で既に貢献している。彼らの強制退去は、米国の学術界にとっても損失だ。

興味深いのは、トランプ政権が「中国共産党との協調」を非難の理由に挙げている点だ。2020年にも、トランプ政権は中国の軍関連大学とのつながりを理由に中国人大学院生のビザを制限した経緯がある。今回も、中国人留学生が標的の一部であることは明らかだ。しかし、具体的な証拠や個別の違法行為の指摘は乏しく、ノーム長官の主張は政治的な意図を感じさせる。

(中国経済新聞)