中国の一部公立病院、深刻な財政危機に直面——給与削減や倒産も現実に

2025/05/2 13:45

近年、中国各地の公立病院が財政難に陥り、給与削減や職員の解雇、さらには破産といった深刻な問題が表面化している。

『中国衛生健康統計年鑑』によれば、全国の公立病院の資産負債率は過去20年でほぼ倍増し、2004年の26.16%から2021年には45.18%に上昇。負債総額は2010年の約5113億元から2021年には1.92兆元に達し、約3倍に膨れ上がった。

特に新型コロナウイルスの流行による三年間の経営悪化と、地方政府の財政収入減少に伴う医療保険金の遅延支払いが、公立病院の運営を一層困難にしている。

黒竜江省のある市立病院では、500人規模の二級病院にもかかわらず、負債額が9100万元に達し、年間収入は1億元に満たないという。院長は「もはや資産では負債を賄えず、医療設備の約8割が更新時期を迎えているが、新たな投資を行う余裕は全くない」と述べる。

西部のある県級三甲病院では、2023年以降、夜勤手当や成果給が一切支払われず、基本給だけで運営されている。給与の支払いか、仕入先への返済かの二者択一を迫られ、毎回の給与支払いは数カ月の遅延を前提とした「綱渡り」状態だという。

こうした運営のひっ迫は、賃金カットや職員の抗議といった形で表面化しており、最も極端なケースでは病院の破産に至っている。2024年には、広東省梅州市の公立病院「嘉応医院」が、10カ月にわたる給与未払いの末に診療停止を発表し、事実上の破産となった。

このような危機の背景には、薬価差益の廃止や医療保険制度の改革に伴う収益構造の変化、そしてコロナ禍による患者数の急減がある。また、多くの病院が過去に大規模な借入を伴う建設投資を行っており、旧債が解消されないまま新たな債務が積み上がり、経営破綻のリスクが高まっている。

ある公共政策の専門家は、「病院収入が大幅に減少する一方で、十数年にわたって蓄積された債務が返済期限を迎えれば、債務不履行は避けられず、破産に至るケースも増えるだろう」と警鐘を鳴らしている。

今後、公立病院の安定運営のためには、財政支援の見直しや制度改革、そして持続可能な経営モデルの再構築が急務となっている。

(中国経済新聞)