中国の映画界は先ごろの10月25日~27日の週末3日間の興行収入について、2億元(約43億円)を超えた日も含め合計4.3億元(約92億円)となった。さらに1週間(10月21日~27日)では6.2億元(約133億円)とやはり好調であった。ハリウッドの大作「ヴェノム:ザ・ラストダンス」、中国の「チャオ・イェンの思い」(喬妍的心事)、日本のアニメ「ルックバック」、「ハリーポッター」シリーズの再上映といった勢いに乗り、映画市場は久方ぶりの盛り上がりを見せている。
こうした活況の火付け役となったのは、この日に上映された「ヴェノム:ザ・ラストダンス」である。中国では北米より2日先駆けて10月23日封切りとなり、世界で最初の鑑賞を果たした。初日の興収は6694万元(約14.3億円)で、全体に占める割合は80%に達し、その後も連日トップの座を維持した。28日までに3.25億元(約69.5億円)を売り上げ、豆瓣の採点では6.8点であった。幸先のよいスタートや口コミを受けて見通しも明るく、猫眼専業版の予想では興収が最終的に5.8億元(約124億円)となる見込みである。
先週土曜日に封切りされた中国の新作「チャオ・イェンの思い」も、予想外の興収や注目度となっている。チャオ・リーインとシン・ジーレイが主演を務め、封切り当日の興収は4479万元(約9.59億円)で翌日も続けて2位であった。猫眼の予測では最終的に計1.5億元(約32.1億円)に達するという。女性をテーマにしたこの作品は張悦然の小説「大喬小喬」をモチーフにしたもので、国境の町で育ち、努力の末にスター女優となった喬妍(チャオ・リーイン演)は、プレッシャーを抱えて慎重に歩んでいた。そこへ匿名の脅迫状が届き、これまで隠してきた過去に脅かされる。そこへ長年連絡が途絶えていた姉(シン・ジーレイ演)が突然姿を見せ、偶然のように見えながら大変な危機が隠されている、といったストーリーである。
日本のアニメ映画「ルックバック」は先週の興収ランキングで3位だった。人気漫画家の藤本タツキの短編作品を映画化したもので、性格はまるで違うが漫画を愛する少女の青春や友情、夢を描いており、押山清高監督の手腕で一味違った動きやビジュアルを表現している。ストーリーと描写が素晴らしく、アヌシー国際アニメーション映画祭で上映されたほか、今年6月の上海映画祭でも先行上映され、豆瓣の採点では8.5点をマークしている。
(中国経済新聞)