中国の配車サービス大手「ディディ」がこのほど、宿泊やテーマパーク、近場旅行、小人数旅行、家族旅行など、旅行関連の事業をひそかに手掛け始めた。6月17日、ディディのAppの内部テストページに、「プチレジャー」、「テーマパーク」、「近場レジャー」、「個人トラベル」など6種類の旅行プランが掲載されており、対象はいずれも国内の旅行となっている。
このテストページには、4割引き旅行6回分、親戚・友人紹介プレゼント、特別コース設定など、期間や数量限定のキャンペーンもある。表示されたプランは料金がまちまちで、「プチレジャー」は宿泊込みで1599—12800元(約3.3万円~約27.8万円)、「近場レジャー」は699—4999元(約1.5万円~約10.9万円)となっている。
アプリテストの最高顧客体験責任者である王家新氏によると、「ユニバーサル・スタジオ・北京1泊2日」のプランは宿泊、入場券、マンツーマンの行程ガイドサービス込みで5388元(約11.7万円)であり、自分で宿泊や入場券を予約すれば3774元(約8.2万円)で安上がりでである。この差はマンツーマンのガイドの分が加算されていることによるものである。
ディディにとって旅行事業は、今回初めて手掛けるものではなく、2018年にオンライン旅行サイトのBooking Holdingsと提携合意し、5億ドル(約790億円)の融資を獲得している。後に複数の旅行関連会社を立ち上げて取り組みを徐々に拡大し、2023年12月には子会社の天津暢遊国際旅行社(滴滴旅遊)を発足させて、アプリのテストページでの旅行プランを発表している。
今回のディディの取り組みについて、業界内では、モビリティー事業の探索の一環であり、アプリのアクセスを利用しての市場参入狙いと見ている。ただし、この分野は「トリップドットコム」や「飛猪」(Fliggy)など大手OTAが占拠しており、ディディは大量の予算をつぎ込み、資源の横展開や価格競争に挑まなくてはならない。ディディは現時点で、プランの購買や値段についてメリットが薄く、この分野がどの程度成長するかは会社の事業計画や投入予算額次第となる。
ディディは現在、旅行関連のプランの正式な利用開始時期などについては明らかにしていない。業界内では、新たな事業体制を築くには数10億~100億元(数100億~1000億円)かかると見られている。ディディが激しい市場競争で存在感を示せるか、今のところ未知数である。
(中国経済新聞)