ロンジソーラー、マレーシアとベトナムの工場を稼働停止

2024/06/6 17:30

アメリカが東南アジア4か国(カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナム)で生産される太陽光発電製品への関税免除措置を中止したことで、これら各国に生産拠点を持つ中国企業の出方に目が向けられている。業界内では、太陽光パネル大手のロンジソーラー(隆基緑能)がマレーシアの発電モジュール工場の稼働を今週で中止し、ベトナムのパネル工場も5本の生産ラインがすべて稼働停止したと伝えられている。

ロンジソーラーはシリコンチップ、モジュールの世界最大手で、2023年末現在でシリコンチップは170GW、電池は80GW、太陽光発電モジュールは120GWの生産能力を備えている。

同社は今、複雑な業界環境や政策的動向に対応し、かつ世界各拠点のデジタル化や技術改良に向けて、海外や中国国内の拠点の一部で生産計画を見直しているという。社員に対しては他場所への応援やシフト勤務体制の導入などを講じて、影響を抑えて待遇面を確保する。今後はマーケットの変化や成長具合に応じて生産計画を適時見直すとしている。

ロンジソーラーは、マレーシアとベトナムを主力の拠点としており、マレーシアでは年産6.6GWの単結晶シリコンインゴット工場と同2.8GWの単結晶モジュール工場が、ベトナムでは同3.35GWの単結晶電池工場が稼働している。太陽光発電については、今年に入って製品価格の変化や技術の急速な入れ替わり、貿易政策の見直しなどを受け、各社とも経営が苦しくなっている。

アメリカは5月16日、カンボジア、マレーシア、タイ、ベトナムの一部の太陽光発電製品に対する免税措置を終了し、輸入関税を復活すると発表した。製品の買い占め防止が目的であり、その上で補助金支給策などにより国内の産業発展を支えるという。

中国の太陽光発電企業は、10年余り前に欧米からダンピングや補助金に対する調査を受けた際、関税回避策として東南アジアでの工場建設に乗り出した。上記4か国では2023年末現在、太陽光電池の年産能力は77GWで、発電モジュールは85GWであり、モジュールについてはアメリカの全輸入量の75%をまかなっている。

(中国経済新聞)