中国商務省は4月17日、アメリカ通商代表部(USTR)が中国の海事、物流、造船業に対して「通商法301条」を発動したことに強い不満と断固とした反対を表明した。「アメリカの申請書には事実でない部分が大量にある」と指摘している。
今回の調査発動におけるアメリカの目的は、世界の造船業の環境や競争条件を改めることである。アメリカの港での中国製の船舶に対する停泊料の増額や、アメリカ製の船が必要としている国内造船業の復興ファンドの増額体制の設立などを通じて、国内の造船業を強化することが狙いである。2018年における同様のケースなど、過去の例から見て、アメリカは調査終了後に追加関税などといった形で一段と貿易規制を強化するものとみられる。
ただし今回の調査について、中国の造船業に対する影響は限定的である。業界関係者によると、中国は現在、アメリカからの受注割合はごくわずかで、直接の影響は薄いという。ただ、広い見方をすると、このような動きで造船業における世界の勢力地図も塗り替えられ、国際市場に深い影響が生じる可能性もある。
貿易紛争について経験が豊富な中国の弁護士によると、今回のアメリカの措置は単なるビジネス上の保護主義に基づくものでなく、政治的な思惑が背後に存在しているという。今年総選挙が行われることが大きな理由であり、選挙戦の動き次第で調査の方針や実施措置の度合いが変わってくる恐れもある。またバイデン大統領は先ごろ、中国産の鉄鋼とアルミ製品に対して関税を2倍にする策を打ち出したが、これも票集めが目的と見られる。
世界的に見て、船舶の製造は中国、日本、韓国が「3強」を形成していたが、最近は日本のシェアが下がって「中韓2強体制」になりつつある。中国船舶工業協会によると、中国は造船業で世界的にシェアを伸ばしており、2023年の1~2月の製造完了数は全世界の56.5%、新規受注量は同じく69.5%、既存の受注量は56.1%となっている。
(中国経済新聞)