中国で総再生回数4.4億の大ヒットTVアニメ『百妖譜(ひゃくようふ)』が放送に先立ち、1/6~1/8限定でオンライン先行配信が決定した。
■キャスト・スタッフ公式コメント
東山奈央(桃夭(とうよう)役)
東山奈央さん
―本作の見どころ、注目してほしいポイントを教えてください。
主人公である霊医の桃夭が、妖怪の病を治しながら旅をしていくお話になっています。病といっても、病気というより心の傷から生まれるものであり、そこを癒すことで妖(あやかし)たちを救っていく物語です。毎話、どういうプロセスを経て、どういう過去を背負ってその妖たちがいるのかというところがクローズアップされるため、とても骨太な、感動できる物語になっているところが注目ポイントだと思います。
桃夭は患者である妖にとっては聞き手というか、本当に一番困っているところで助け舟を出すというタイプです。はじめは突き放すような態度をとって、「あれ?助けてくれないのかな?」という雰囲気になることもあります(笑)。でも、そんなやりとりの中でどんどん妖の心の奥底が見えてくるため、これが彼女のやり方なのかなと感じています。悲しい生い立ちの妖たちもいる中で、一緒に気落ちするのではなくサバサバとしており、桃夭は桃夭としてここにいる、軸でいてくれることが大事なのかなと思いましたね。また、桃夭は主人公であると同時に、シリアスな物語の中で箸休め的なポジションも担っていると思います。相棒の磨牙のように、ちょっとした悪態がつける関係性の人との、ポンポン交わす応酬で「クスッ」とできる場面があるのが救いなのかなと感じています。
―ご自身の演じる桃夭の魅力や、役作り・お芝居をする際に意識した点などを教えてください。
第一印象は「凛々しくて頼れる女性」でしたが、(演じていく中で)思った以上にサバサバしているんだなと感じるところはありましたね。中国語の吹き替えアニメなので、アフレコ中は原音を聞き、それもヒントにして役作りをしていきました。桃夭も日常のシーンでは、時に変顔もしたりと底抜けにチャーミングなのですが、いざ治療にあたる時はキリッとした顔つきになったり、相手を試すような時はすごく艶っぽい表情を見せたり……と、いろんな一面があります。そこは現場に入ってから、演出の安藤さんにも「できるかぎり限り幅広く表現していってください」とディレクションをいただき、心がけているところです。
患者である妖怪たちに、私だったらついつい寄り添ってしまいたくなるのですが、桃夭は結構辛辣なことも平気で言います。そんなこと言ったら弱っている妖怪に可哀そう……と私は思ってしまうんですが(笑)。そういうところも相手には簡単になびかない、自分という軸がしっかりとしている女の子だなと思います。最後の砦なのだと助けを求められると「助かる保証はないけど」と言いながら、しぶしぶ最善は尽くしてくれる。でも助けた後も、患者に対して「いつでもあんたを薬にしてやる」と言う。いわゆる皆さんが思い浮かべる主人公像とは異なるかもしれないけれど、それがかえって面白いポイントかと思います。
―本作は、中国の人気アニメの吹き替え版となります。吹き替え版ということで、収録に際し通常のアフレコと異なった点、意識した点、工夫した点などがあれば教えてください。
私が中国のアニメを吹き替えさせていただくのは今回が初めてなのですが、吹き替えのお仕事はとても興味があったので、オファーの件をマネージャーさんから伺った時に「やりたいです!」と即答する勢いでした(笑)。不慣れな中で起用していただきありがたかったです。
既に一度完成されているアニメということで、私たちがアフレコをさせていただく時には、絵もあってBGMもあって効果音もあって、更に(中国の)オリジナルの俳優さんの声もあって……と、お芝居をする上での手掛かりがたくさんちりばめられています。一方で、中国語はテンポが早いため、日本語になったときセリフ量と口パクがあわなくなるシーンもあり、「中国語ではこの尺で言えるセリフが、日本語ではこんなに言葉を尽くさないと言えないのか」「一番翻訳家さんが苦労されているのではないか、影のMVPではないか!?」と思っています。吹き替え版は日本で放送するアニメになるため、そういったところで、オリジナルを参考にしつつも、日本の皆様に親しみやすい表現や伝え方ができればと考えています。
―本作は、妖怪たちを“癒す”旅がテーマになっています。ご自身が行ってみたい「癒しの旅」のプランを教えてください。
私は珈琲がすごく好きで、スタジオの近くでもよくカフェめぐりをしているのですが、もし旅に出たら、その土地で一軒しかないカフェに行ってみたいです。
今年は運よく旅行に出る機会があったのですが、タクシーでお目当てのカフェへ移動しようとした際に、「お客さん、どうしてもそのカフェじゃなきゃ駄目? 今の時間帯なら、こっちのカフェに行った方が、沈む夕陽が見られるよ」と教えていただき、岬の方のカフェに連れて行ってくれました。更に、「お客さん、1時間くらい居るんだったら、1時間後にまた迎えに来るよ」と言っていただいて……。現地の方と交流しながら行先を決めたり、出会いを楽しみながら珈琲をいただいたりというのがとても楽しくて、コミュニケーション込みで美味しくて癒されました。もう一度行きたいと思ってもなかなか叶わない場所ですが、別れを惜しむ気持ちも込みで、これからも色々な土地のカフェを訪れてみたいなと思います。
―本作は中国アニメということで、中国ならではの風習や食べ物などのカルチャーも多数登場します。 ご自身の好きな中華料理や、もし訪れたことがあれば思い出などを教えてください。
桃夭が1話で食べていた麺が印象的でした。私、中華麺というかラーメンがすっごく好きで、仕事の合間に食べるのにもちょうどよくて……。1年で一番多く食べている食べ物がラーメンかもしれません。マネージャーさんに「昨日も食べたでしょ!」と怒られてしまうくらい(笑)。
実は上海にも自分のライブツアーで行かせていただいたことがあって、思い出深かったですね。お皿にいっぱいの上海ガニが盛られていたのですが、解体するのがちょっとかわいそうになってしまって。結果、お店の方に食べやすくしていただきました。とても美味しかったですし、名物を食べられたことが嬉しかったです。あと、白酒(バイジウ)というすごく度数の高いお酒があって、ツアーの打ち上げで男性スタッフさんたちが呑んでいらして、みんなベロベロになっていました(笑)。私はツアーでがんがんに歌った後の喉だったので、ペロッと舐めただけだったのですが、刺激的な飲み物でしたね。
―最後に、これから『百妖譜』をご覧になるファンの方々へメッセージをお願いできますか。
『百妖譜』は中国で大人気のアニメーションということで、こうして日本にやってきてくれて、より多くの方に触れていただける機会に関わらせていただいてとても光栄な気持ちです。アフレコ現場でも、みんなこの作品の話で盛り上がっていて、「これってどういう意味なんだろうね」「こういう風に思ったんじゃないかな」といった言葉を交すことが毎回楽しみな作品になっています。
ご家族でもご覧いただけるアニメだと感じますし、「明日からこういう風に生きてみようかな」と感じるような、そんなメッセージ性のある作品だと思いますので、ぜひ楽しんでいただけますと嬉しいです。
(中国経済新聞)