中国製商品と中国アニメがコラボ、上海・南京路から世界へ

2025/09/2 12:00

上海・南京東路にある「中国ナンバーワン商店街」の一番賑やかな宏伊国際広場で、8月13日から9月12日にかけて、一風変わった催し物が行われている。文房具メーカーの晨光(M&G)がテンセントの動画サイトとコラボして「中国アニメフェスティバル」を実演しており、中国製の商品とアニメの魅力に大勢の若者たちや見物人が詰めかけている。

イベント会場は「あずまやにかかる二次元の渡り廊下」といった様相で、「剣来」の古代ロマンの世界が見事に再現され、COSERがその中を行きかうという没入型に仕立てていた。印象的な光景に心を揺さぶられ、夏休みから入学シーズンにかけた今の時期で大人気のスポットとなっている。

多くの若者たちがお気に入りのキャラクターと記念撮影をするため、カメラや旅行カバンを携えていた。大学2年生の王安莉さんは「剣来」のCOSERを見ようと、数日前からアプリで面会チケットを申し込み、どうにか手に入れた。陝西省西安から訪れたという子供連れの女性は、「スラスラ書けるよ」と書かれた限定品の文房具を買ってあげようとわざわざ上海に足を運んだ。

また外国人の姿も随分と多く、中国らしさを取り入れたM&Gの商品に対して「ヨーロッパではまず見られない」と高く評価した上、「キャラクターペン」を手土産として嬉しそうに購入していた。

こうした文化のコラボは、偶然の産物ではない。200種類余りもあるM&G製の限定SKUは、「斬神」「剣来」の関連グッズから新商品の「キャラクターペン」まで、若者たちを十分に見極めた成果が見えている。キャラクターペンは単なる筆記用具ではなく、髪飾りやカバンにつけるものにもなり、多様なクリエイティブ表現を求める若者たちに合わせたものだ。「栄誉の国産品」というM&Gの伝統的特性を盛り込んだ上、「文房具+アートトイ」という新たなモデルにより次世代の消費者とのシンパシーを感じさせるものである。

国産アニメが台頭している中国では、若者文化の中で「新たな中国ブーム」が際立つようになった。二次元全体の愛好者数は5.26億人を数え、将来性も十分だ。M&Gからすれば、中国アニメの取り込みは単なる営業戦略でなく、知名度アップに向けての必須アイテムなのである。

テンセント動画とのコラボを果たしたM&Gは、単なる文具メーカーから文化消費財の提供者へ改革を果たした。このコラボで登場した人気の中国アニメIPは、全国15の都市で計21回にわたり「二次元特設店」イベントを行った上、フラグシップ店40か所、特別店2700か所、専門店20000か所で披露されている。こうした全国規模の入学関連イベント「中国アニメフェスティバル」は、のべ300万人以上が足を運び、関連情報のオンライン閲覧数は5億件を超え、まさに国民的規模の中国のアニメ・商品ブームを巻き起こした。

M&Gの異業種提携への道のりは容易なものではなかった。30年以上にわたる文房具事業の中、研究開発やイノベーションを繰り返し、ミッフィーから孔子廟のIPまで、さらには「浪浪山小妖怪」まで、経験を絶えず積み重ねて商品に感情的価値や文化的シンボルをもたらした。そして今、テンセント動画との「夢のコラボレーション」により、中国のアニメや商品が一段と同調感をもたらし、異業種提携による多大なエネルギーを発散している。

さらにまた、こうした「中国商品∔中国アニメ」とのモデルが海外にも普及している。M&Gは今年3月、中国の文房具メーカーとして初めて蔦屋書店で商品を発売し、120近い店で大変な売れ行きを示した。蔦屋の文房具担当者によると、「M&Gのデザインはイノベーション性もあり、若者たちの感情的欲求を満たすものでもあって、中国ブランドの世界的な潜在力が見えた」という。

M&Gのブランド担当者である朱剣鋒氏は、「中国産アニメと商品の価値の通じ合い、それは若者たちを揺り動かすものだ。両者はともに中国の文化や技術、製造の結び付けで生まれたもので、感情的価値も生まれるほか、中国ブランドの世界的な知名度や評価にもつながる」と述べている。

M&Gとテンセント動画による全国規模の「中国アニメフェスティバル」が行われている今、文化の海外進出が加速しつつある。中国の商品とアニメのコラボ、それは一時的な営業戦略ではなく、今の時代の流れにおける文化の足跡なのである。

(中国経済新聞)