米国の漢学者:「古代中国の理念は現代人にも示唆を与える」

2025/10/16 15:30

10月14日、第二回「世界中国学大会」が上海で開催され、国内外から500人を超える専門家・学者が集まり、「世界的視野から見た歴史中国と現代中国」というテーマのもと、活発な議論が交わされた。

■「漢学」と「中国学」の違い

「中国学とは何か」。北京外国語大学国際関係学院の謝韜(シエ・タオ)院長は、「中国学(China Studies)は、主に古代中国の歴史や思想、文化を研究する“漢学(Sinology)”とは異なり、現代中国の政治・経済・社会などを多角的に研究する分野だ」と説明する。中国学は一つの独立した学問分野ではなく、複数の学問を横断しながら現代中国を総合的に理解しようとする点に特徴があるという。

■古代の智慧、現代への示唆

米国の漢学者であり、南開大学哲学院副教授のミーシャ・タッド(邰謐侠)氏は、「古代中国の原則や概念は、現代の私たちにも大きな示唆を与えてくれる」と語る。彼が特に注目するのは、老子の「柔弱は剛強を制す」という考え方だ。

「衝突を力で押し切るのではなく、柔軟に、時に譲歩をもって対応する。そうした思考はもっと学ぶ価値がある。私の母国・アメリカのリーダーたちも、この点をもっと学ぶべきだと思う」と述べた。

アルゼンチン国際関係評議会アジア事務委員会のホルヘ・マレーナ(Jorge Malena)氏も、「西洋世界は中国の古代文化に強い関心を持っているが、中国を語る際に古代だけで止まってはいけない」と指摘する。

マレーナ氏はアルゼンチンで初の中国学プログラムを立ち上げ、現在2つの私立大学で同分野の教授を務めている。「学生には社会や文化、哲学だけでなく、現代中国の政治・経済・外交政策も教えている」と語る。

「中国はアルゼンチンにとって三大貿易相手国の一つであり、重要な投資家、融資者、技術移転者、そしてインフラ建設のパートナーでもある。商業活動を志す若者や外交官を目指す学生にとって、中国を理解することは不可欠です」とマレーナ氏は強調した。現在、アルゼンチンでは毎年数十人の若者が中国学の修士課程に進み、この分野への関心が高まりつつあるという。

■学問と実践の融合へ

多様な学問領域を包み込む中国学には、広い学術的・実践的可能性がある。シンガポール国立大学東アジア研究所の上級研究員で経済学者の陳波(ボー・チェン)氏は、「国際的に説得力のある論理を構築することこそが中国学の核心だ」と語る。

陳氏は新エネルギー車産業を例に挙げた。「この産業は革新的で、従来産業に大きな衝撃を与えます。革新は世界同時に起こるものではなく、特定の国や分野から生まれるものです」と説明する。

同氏はさらに、米国などが中国の新エネルギー車を「不公平な補助金競争」として描く現状を批判。「もし各国がその背後にある論理と本質を理解すれば、中国のEV排除は自国にも不利益であることに気づくだろう」と指摘した。実際、カナダでは中国EVへの100%関税撤廃を求める声が上がっているという。

「国際化を進めるには、世界の人々が理解し、納得できる論理と、事実に基づく議論が必要だ」と陳氏は語る。「中国の物語を論理的かつ説得力をもって語ることで、中国の革新はより広い世界に届き、さらなる革新を生むだろう」。

——古代の思想から現代の経済まで。第二回世界中国学大会は、まさに「過去と未来をつなぐ知の対話」の場となった。

(中国経済新聞)