中国EC大手・京東(JD.com)は10月14日に開催した「京東ダブル11」発表会で、寧徳時代(CATL)傘下の時代電服および広汽集団と共同で新型車を発表すると明らかにした。公式発表によると、今月末から順次、内測版および一般向け試乗イベントを開始し、ダブル11期間中に正式発売、京東で独占販売される予定だ。
このニュースを受け、一部では「京東がついに自動車製造に参入するのではないか」との憶測が広がった。これに対し、京東は「今回の新車は三者共同プロジェクトであり、京東は販売を担当するのみで、製造には直接関与していない」とコメントし、“造車”の噂を正式に否定した。

京東にとって、自動車販売は大型セール期間中の注目を集める重要な手段となっている。今年のダブル11では新車発売に加え、「震骨価(しんこつか)」補助キャンペーンを拡充。政府補助と合わせて「補上加補(追加補助)」を実施し、最大で5割引となるケースもあるという。
京東はこれまでにも自動車関連施策を積極的に展開してきた。2024年の「618セール」では「1元から始まる自動車オークション」を実施し、今年4月には「旧車下取り・新車購入キャンペーン」を開始。江蘇省宿遷市宿豫区の消費者が京東経由で新車を購入した場合、国家補助金(国補)の対象となった。
京東汽車(JD Auto)は、整車販売から自動車用品、保守・点検、さらには新エネルギー車(NEV)向けソリューションまでを提供するワンストップ型プラットフォーム。取り扱い範囲は自動車・オートバイ・二輪電動車の整車および関連装備、メンテナンス・改装・カーラッピングなど多岐にわたる。現在、「京東養車」ブランドの整備店舗は全国で約3000店舗に達しているという。
製造に踏み込むことはないと明言した京東だが、電動化・デジタル化が加速する中国の自動車市場において、オンライン販売の存在感をさらに強める構えだ。
(中国経済新聞)