コロナ禍の脱却が進み外国人観光客が急激に増えている北海道で、7月に入り新千歳空港と中国とを結ぶ直行便が相次ぎ運航を再開した。
7月8日に新千歳―上海便が、そして11日に新千歳―北京便がおよそ3年4か月ぶりに運航再開を果たしている。北京で17年間生活していた私はその11日、観光で北海道ほか日本を旅行するという中国人の友人、張継文さんを迎えるために新千歳空港へと足を運んだ。
▲横断幕を広げて乗客を待ち受ける空港スタッフ。
そして着陸からおよそ50分後に、張さんが姿を現した。1年半ぶりに再会できて大変うれしかった私はすぐさま握手を求め、歓迎の言葉をかけようとしたが、そこで彼はたちまち報道陣につかまってしまった。地元の新聞記者やテレビ局などから質問攻めにあっていた。
日本語が流暢な張さんは快く取材に応じ、楽しそうに滞在スケジュールなどを語っていた。この後はリゾート地のトマムに移動し、家族とともに3日間ほど過ごすという。
札幌に移住して間もなく1年半になり、緊急事態宣言などが発令していた当初と比べればずいぶんと様変わりしている。空港行きのリムジンバスなどは長らく空気輸送状態であったが、今年2月の雪まつりのころから外国人観光客が街中に増え始め、今は市内の目抜き通りである「狸小路」もかなりの活気を取り戻している。一番上の画像の通り、この日の新千歳空港は北京便の前にソウル発の便が立て続けに3便到着し、この後に上海ほかアジア各地から続々と国際線がやって来る。
札幌の日中友好協会に所属している私は、ボランティア通訳者の会にも登録しているが、いずれもここ3年ほどは活動自体がほぼ休止状態だったようだ。改めて交流事業を実施し活気が戻ってくることを切に願っていたが、ようやくその願いが果たされそうである。
この日はトマムに向かう張さんの家族3人とともにJRの快速エアポートに乗車したが、車内は巨大なキャリーバッグを抱えた観光客ですし詰め状態であり、少し申し訳なく思ってしまった。ちなみに中国語で、「空気輸送状態」は“拉着椅子跑”(椅子を引いて走る)、「すし詰め状態」は“沙丁鱼罐头”(イワシの缶詰)などと言う。
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(文・アジア通信社 森雅継)
【筆者】森雅継、東京都出身、早稲田大学商学部卒。北京在住歴17年で中国人の妻との間に2児、現在は家族4人で北海道札幌市に在住。