若者たちが専門家のアドバイスを聞きたがらない理由は?

2023/02/4 12:12

中国のデジタル経済シンクタンク・儲殷(注)副院長が2月3日、「専門家」の信用危機について述べた動画を発表した。若者たちが専門家のアドバイスを聞きたがらない理由について、まずアドバイスの質が低く技術的に中立であるか疑わしいこと、またITの時代で従来の権利関係が翻り、反知性主義者が発言権を得て「専門家」が貶し言葉になっていること、さらに今の人が自信を持つようになったことを挙げている。

実際には、若者たちは決して「専門家のアドバイス」を忌み嫌っているわけではなく、専門家への期待感と実情にそぐわない言葉との落差に失望しているのである。

あるネットユーザーのまとめによると、2022年1年間の「専門家のアドバイス」は、食事や水分補給など暮らしに関わるものから、仕事、子育て、教育、住宅購入など社会面にも及び、広範囲に気を配っているという。

「水分補給」を例にとると、「若者はのどが乾いてから飲んだり、食事の際に飲みすぎたりせず、1日に1.5リットル以上必要だが1度に飲む量は50ミリリットル以下とすべき」と言っている。1口の水飲みをパターン化しているわけだが、せわしない生活の中でそこまで細かく実行する時間や力があるのだろうか。

専門家のアドバイスは検索件数も多いが、えてして不満も招いており、若者たちは何を言われようとも、それに対して「アドバイスをしないようアドバイスする」との言葉を投げ返すようになってしまった。

(注:儲殷氏、1977年吉林省長春生まれ。中国人民大学で博士号を取得、元国際関係学院行政学科教授。 ベルギーのブリュッセル自由大学の交換研究員、ベルギーのヨーロッパ大学の地域間統合研究センターの客員研究員。)

(中国経済新聞)