日本の経済安全保障大臣小林鷹之氏は、2021年12月22日、日本記者クラブで行われた記者会見で、中国経済新聞の記者質問への回答で、日本が経済安保政策と法案を制定するのは、中国に焦点を合せたものではなく、世界第一の経済大国に成ろうとしてる中国と如何に安定した協力関係を築いていくかが日本政府の重要な課題の一つであると、強調した。
小林大臣が言うには、日中両国の安定した関係は、両国の関係の発展に関わるばかりでなく、周辺地域と世界の繁栄と平和にとって十分に必要な事である。日本政府から言えば、中国は世界第二位の経済大国であり、現有の発展速度を継続して保持していけば、間違いなく十年以内に、GDP総量は世界一になるだろう。中国が正しく一つの大国であるが故に、我々も中国が大国に相応しい責任と役割を果たす事が出来ると大いに切望してる。日中間には幾つかの未解決問題はあるが、岸田首相は、少し前に行った日中首脳オンライン会談の中で、日中両国を取り巻く共同で直面している課題に協力を深めなければならないと強調した。
日本政府がアメリカに追随し、ハイテク分野と部品供給に於いて、中国に対し制限的な動向を実施するのは、日中両国の経済技術協力に、赤い線を引かなければならないと言う意味があるのかとの、質問に、小林大臣は『日中両国の経済技術協力の安全保障の赤線は何処か?』と聞かれれば、私は、そんな線は無いし、日本の経済安保強化対策は、中国を含め世界の如何な国とも、赤線を引くと言う考えはない。内閣の担当大臣として、私が考慮するのは、日本自身の経済安保をどうすれば良いのかである。中国しかり、アメリカしかり、欧州しかり、皆この問題を研究している。日本の強みは何処か?弱みは何処か?日本政府として、各方面から如何にして国民の生命と財産を守り、経済安保の切り口を何処に見つけ出さなければならない、これが我々が最優先で考慮すべき問題である。
小林大臣は更にこう表明した。アメリカ政府は中国企業に対し、非常に厳しい制限措置を採用したが、日本政府にはそうした考えはない。日本政府が正に《経済安保法案》を制定しており、来年初めの国会で討論を始め通過させたいと計画している。しかし、企業にとって、これは『規制と制限』する為のものではなく、投資とビジネスを自由にする為のものであり、政府が干渉する理由は無い、科学技術の創造協力であり、領域と国家を超えた、海外内に求めた共同協力である。一部の企業は、経済安保法が実施された後、企業の海外内への投資構成に脅威を与えるのではないかと心配しているが、政府の役割は、規則を制定するだけで、制限するものではないと、私は思う。
小林大臣は、各国は輸出や投資、国際共同開発などの規制を強化しており、日本も同様の流れになる見込み。経済活動の制約につながるため、企業には「規制対象となりうる機微技術の定義を明確にしてほしい」と配慮を求める声がある。これに対しては「リクエストに応じる形で制度を設計する」とする一方、「海外との違いを認識した上でビジネスをしないと虎の子の技術やデータが守り切れない」と理解を求めた。「経済安保の規制の側面ばかりクローズアップするのはミスリードにつながる」と一部マスメディアの報道姿勢に苦言も呈した。
政府主導で国内生産基盤の確保に乗り出した半導体については、「少なくとも10年はかかるが、半導体産業の再生は可能だ。今なら間に合う」との見方を示した。
日本の半導体産業は1980年代後半には世界シェア5割を占めていたが、今は1割弱まで低下している。復活には製造拠点の整備と併せて、半導体を多く使う新たな市場づくりを進めることが重要だとした上で「この先10年間でどれほど国がコミット(関与)するかで民間企業の本気度が変わる」と力を込めた。
「経済安保は、米中対立の長期化やコロナ禍でサプライチェーン(供給網)の脆弱性が露呈したことなどを背景に、半導体をはじめとする重要物資の安定供給や機微技術の海外流出防止を目指す概念だ。現状では米国や中国が先行し、丸腰に近い状態にある日本は急ピッチで制度整備を進める。米国や中国など他国の動きに右往左往しないようにするために、日本の基軸となる考えをしっかりと持ち、国力を高めなければいけない」。」。
岸田文雄内閣が看板政策の一つに掲げる「経済安全保障」の担当大臣として、強い危機感を率直に語った。
(中経・徐静波)