長沙の身体性知能ロボット、EUのCE認証取得 中国初の産業用製品

2026/09/7 10:05

中国・湖南省長沙市の長泰机器人有限公司(Changtai Robot)が自主開発した「身体性知能(Embodied AI)巻線ロボット」がこのほど、欧州連合(EU)のCE認証を取得した。中国国内の産業用身体性知能ロボット製品として、CE認証を取得するのは初めてだという。

CE認証は、製品をEU域内で流通・販売するために求められる安全・環境関連の基準への適合を示す重要なマークで、いわば欧州市場への参入に必要な「パスポート」に相当する。

今回の認証では、メーカーによる一般的な自己適合宣言とは異なり、ドイツの第三者検査・認証機関であるTÜV Rheinland(テュフ ラインランド)が試験・評価を実施した。安全性をはじめ、インテリジェント制御、量産時の製品品質の一貫性など、複数の側面について厳格な検証が行われた。

これにより、長泰机器人の巻線ロボットは、欧州市場で販売するためのコンプライアンス面での基盤を整えたことになる。

2010年設立の長泰机器人は、スマート高性能設備の研究開発・製造を手掛ける企業で、中国政府が認定する国家級「専精特新“小巨人”企業」の一社。湖南中南智能装备有限公司(Hunan Zhongnan Intelligent Equipment)傘下に属している。

同社は産業用ロボット本体の開発にも力を入れており、自主知的財産権を完全に保有する産業用ロボット「長沙一号」は、湖南省初の完全自主知財権型産業用ロボットとされる。

今回CE認証を取得した身体性知能巻線ロボットは、同社が標準化して海外展開を進める3種類の主要設備の一つ。残る2機種は、身体性知能収巻・検反機と、身体性知能清掃・研磨ロボットとなっている。

巻線ロボットは、中・高級変圧器の製造工程を主な対象とし、円形単軸の高圧コイルを量産する用途に対応する。

最大の技術的特徴は、巻線工程における「張力閉ループ制御システム」だ。巻線中の張力を安定的に制御することで、電線が交差する「跨線」やコイルが崩れる「垮塌」といった製造上の不具合を抑制する。さらに、特定の製品だけに対応するのではなく、幅広い製造条件に適応できる柔軟性も備えている。

長泰机器人の高狄董事長によると、同社は湖南大学および中南大学と共同で研究室を設立し、身体性知能における環境認識技術や、位置・力を組み合わせたハイブリッド制御などの中核技術の研究を進めている。

こうした技術開発が、今回の厳格な欧州認証をクリアするための技術的な基盤になったという。

身体性知能は、AIによる認識・判断能力と、ロボットなどの物理的な身体による動作能力を組み合わせ、現実の環境を認識しながら自律的に作業する技術として注目を集めている。今回の認証取得は、中国企業がこうした次世代型産業用ロボットを海外市場へ展開するうえでも、一つの節目となりそうだ。

長泰机器人は現在、海外市場への進出を本格化させている。欧州だけでなく、中東や東南アジアなど地域ごとに異なる規格や認証基準に対応するため、製品ライン全体の海外認証取得を進めている。

また、海外で実際に導入したプロジェクトから得られたデータや現場での課題を、アルゴリズムや設備の改良に反映することで、異なる環境への適応能力を高めている。

同社はこれまでにも、中国科学技術部や工業・情報化部が実施するスマート設備関連の重点プロジェクトを複数回担当してきた。さらに、同種の設備としては中国国内で唯一、米国の著名テクノロジー企業への納入実績も持つという。

今回のCE認証取得を契機に、長泰机器人は中国発の身体性知能産業用ロボットの海外展開をさらに加速させる構えだ。

(中国経済新聞)