中国の大手クラウド企業が、生成AIの普及を背景にデータセンターや半導体、計算資源への投資を急速に拡大している。ただし、その規模は依然として米国の巨大IT企業には遠く及ばない。
格付け会社ムーディーズは9月3日、中米の大手クラウドサービス企業によるAI関連投資を比較した報告書を発表した。それによると、中国の主要テクノロジー企業の設備投資額は2025年の650億ドルから、2026~2027年には1400億~1650億ドル程度まで増える見通しだ。
金額だけ見れば、わずか数年で2倍以上に膨らむことになる。しかし米国との差はさらに大きい。2026年、米国の主要6社による設備投資額は7850億ドルを超える見込みで、中国勢の約6倍に達する。2027年には1兆ドル前後まで拡大する可能性もある。
実際、2026年4~6月期の設備投資を見ると、アリババは677億元、テンセントは前年同期比176%増の528億元、百度は約2倍の114億元だった。一方、米国ではグーグルが449億ドル、メタが310億8000万ドル、マイクロソフトが319億ドルを投じており、1社だけでも中国大手数社に匹敵する規模となっている。

この投資格差は、AI時代の「計算力格差」に直結する。国際エネルギー機関(IEA)によると、2025年末時点のデータセンター総設備容量は米国が52GW、中国が28GWだった。2030年には米国が100GW、中国が67GWまで拡大すると予測されている。中国の成長率は米国を上回るものの、絶対的な容量差そのものは今後も残る可能性が高い。
もっとも、投資額だけで両国のAI競争力を判断するのは単純すぎる。中国では土地、建設、電力、運営コストなどが比較的低く、同じ1メガワットのデータセンター能力を建設するために必要な資金は米国より少ないとされる。さらに政府主導で計算力網、送電網、次世代通信網を一体的に整備する政策も進められている。
中国国家発展改革委員会は8月19日、計算力ネットワーク、新型電力網、次世代通信網について「2+3+N」の協調体制を構築する方針を示した。大手電力会社2社、通信事業者3社に加え、多数の計算力関連企業を参加させ、AIインフラ建設を加速させる狙いだ。
もう一つの違いは資金調達力である。ムーディーズは、米国の巨大クラウド企業は高い株式評価と厚い社債市場を背景に、AI投資に必要な巨額資金を調達しやすいと指摘する。
さらに米国企業は、通常の借入だけでなく、データセンターのリースやストラクチャード・ファイナンスも積極的に活用している。主要6社が抱える既存および将来のデータセンター賃貸契約は、総額約1兆2000億ドルに達するという。
これに対し、中国企業は株価評価が相対的に低く、増資による資金調達コストは高い。ただし大型企業にはなお選択肢がある。アリババは8月23日、800億香港ドル規模の新株発行計画を発表し、調達資金をAIインフラの拡張やフルスタックAI能力の強化に充てる方針を示した。
AI競争は、モデルの性能だけを競う時代から、電力、半導体、データセンター、資本調達力まで含めた「総力戦」に変わりつつある。中国は投資ペースを急速に高めているが、米国企業の資金力とインフラ規模は依然として圧倒的だ。今後の焦点は、中国がより低い建設コストと政策支援を生かし、投資額の差をどこまで実際の計算能力で縮められるかにある。
(中国経済新聞)
