「100mで人間超え」――北京に世界の人型ロボット2056台集結、AIが挑む“人機共生”の未来

2026/08/25 00:36

世界最先端の人型ロボットが一堂に会する「第2回世界人型ロボット運動会」が8月22日夜、北京市の国家速滑館(通称「氷絲帯」)で開幕した。6大陸16カ国から666チーム、2056台のロボットが参加し、5日間にわたり51種目で技術と運動能力を競う。科学技術とスポーツを融合した世界規模のイベントとして、再び世界の注目が北京に集まっている。

開幕式は「智競向未来」をテーマに開催され、約1000台の人型ロボットが会場に集結。最新のロボット技術を披露するとともに、人型ロボットが研究室を飛び出し、製造、物流、家庭など現実の生活や産業へと進出していく姿を印象的に示した。

「スポーツ」と「最先端技術」が融合

開幕式の幕開けを飾ったのは、霊心巧手(Linkerbot)の人型ロボット36台。人間の手に近い5本指の器用なハンドと精密な柔軟制御技術を駆使し、電吹管、ピアノ、ドラム、マリンバ、ギターなどを演奏した。人間の音楽家との共演による「未来楽章」は、ロボットが単なる機械ではなく、人間と協調する存在へと進化していることを示した。

続いて、加速進化のT2人型ロボット80台が登場。自律的に隊列を変化させながら、世界人型ロボット運動会のエンブレムを形成した。多数のロボットを正確に連携させる集団制御技術は、個々の性能だけでなく、ロボット同士が協調して動く能力が急速に向上していることを印象づけた。

競技面でも、技術革新のスピードを象徴する成果が相次いだ。100メートル予選では天卓チームのロボットが9秒39を記録し、人間の男子100メートル世界記録9秒58を上回った。第1回大会での人型ロボットの最速記録は21秒50だったことから、わずか1年で走行性能が飛躍的に向上したことが分かる。

また、立ち幅跳びならぬその場での垂直跳びの展示では、北京の天工Ultraが2.8843メートルを記録。前年大会の優勝記録95.641センチを大幅に更新し、人型ロボットの運動能力が新たな段階に入ったことを示した。

自律走行・自律判断が競技の焦点に

今回の大会では競技内容も大きくアップグレードされた。複数の種目で人間による遠隔操作を廃止し、ロボットが競技中の判断や動作を自律的に行う方式を採用。環境を認識し、状況に応じて判断し、身体を動かすという「具身知能」の総合能力が試される。

開幕式では、人型ロボットが卓球の元世界チャンピオン鄭潔やオリンピック金メダリストの丁寧、サッカー選手の楊晨らと対戦するデモンストレーションも行われた。ラケットを振る、ボールを打ち返す、ボールを蹴るといった複雑な動作を通じ、ロボットの視覚認識、動的判断、手足の協調能力が披露された。

さらに、21のシナリオ競技では、家庭、ホテル、物流など9分野を対象に、ロボットが現実の物理環境をどれだけ理解し、連続した作業を自律的に遂行できるかを検証する。今回の大会が単なる「ロボットの運動会」にとどまらず、実社会への応用を強く意識していることがうかがえる。

千台規模のロボットが北京を表現

選手入場では、大規模な人型ロボットの隊列が会場を沸かせた。加速進化のBooster T2、80台が整然と歩きながら自律的に経路を計算し、動的に姿勢を調整。さらに隊列を変化させ、「BEIJING」の文字を形成した。

北京人型ロボットイノベーションセンターからは、50台の天工具身智能3.0が参加。複雑な動作「トーマス回転」も可能とされるロボットが隊列を組み、25台の銀河通用Galbot G1も登場した。Galbot G1は家庭、小売、飲食などの場面を想定した長時間かつ複雑な連続作業に挑戦しているほか、器用な手によるペン回しなど、汎用的な手内操作技術も披露している。

また、国際選手団や全国の大学・中学校などの学生代表も入場。人型ロボット技術を支える次世代の研究者や技術者の育成という面でも、大会の意義が示された。

「人間とロボットが共に生きる」未来へ

開幕式のクライマックスでは、ロボットが搭乗した四足歩行の「機械馬」が登場し、人型ロボットを乗せて大会旗を掲げた。大会旗には、人工知能のデジタル的な基盤を象徴する「0」と「1」によって、疾走するロボットが描かれている。

大会の象徴である「智芯」の点灯にも、独特の演出が施された。大会に先立ち、ミラノ、福建、四川、新疆の4地域で人型ロボットが冬季スポーツ、茶摘み、ドラゴンボート、乗馬弓術などに挑戦。各地をリレーするように「エネルギー」を北京へ届け、最後はロボットが機械馬の上から矢を放ち、その光が「智芯」に集約されて点灯した。

「智芯」は「知能・革新・共生」を理念に、金属製の四角錐と青い結晶状のチップを組み合わせた装置。人型ロボットの技術革新と、人間社会との共生に向けた未来を象徴している。

世界人型ロボット運動会は、北京市が重視する技術成果の展示、実用シーンの開拓、国際的な技術交流の重要な舞台となっている。今回の大会では、ロボットの「速さ」や「高さ」だけでなく、自律判断、環境認識、集団協調、器用な操作など、実社会で求められる総合的な能力が競われる。

人間とロボットが同じ舞台で競い、協力し、音楽を奏で、スポーツを楽しむ――。北京で開幕した今回の大会は、具身知能が研究開発の段階から現実社会へと本格的に移行しつつあることを示すと同時に、「人機共生」がもたらす未来の暮らしを具体的に描き出す場となっている。

(中国経済新聞)