中国国家統計局サービス業調査センターと中国物流購買連合会が8月31日に発表した8月の中国購買担当者景気指数(PMI)によると、製造業PMIは49.8%となり、前月から0.6ポイント上昇した。景況感は改善したものの、景気判断の節目となる50%は依然として下回った。
非製造業の商務活動指数は49.0%、製造業と非製造業を合わせた総合PMI産出指数は49.5%となり、前月から0.2ポイント上昇した。中国経済全体の生産活動は、景気の改善傾向を示している。
国家統計局サービス業調査センターの霍麗慧・首席統計師によると、8月は調査対象となった21業種のうち16業種でPMIが前月を上回り、製造業の景況感が明確に改善した。
今回のPMIで目立ったのは、設備製造業やハイテク製造業など「新動能」の堅調さだ。
8月の設備製造業PMIは51.4%で前月と同水準を維持。生産指数と新規受注指数はいずれも52%を上回った。また、ハイテク製造業PMIは52.9%と良好な水準を保ち、生産指数、新規受注指数ともに53%を上回った。

中国物流情報センターのアナリスト、文韜氏は、こうした動きについて、中国では新旧の成長エンジンの転換が加速しており、新動能が安定したペースで拡大していると指摘。新動能の発展は従来型の生産能力を明らかに上回っており、マクロ経済成長を支えるとともに、けん引する役割が強まっているとの見方を示した。
一方、従来型の産業も需給改善を背景に持ち直しの動きを見せた。基礎原材料産業のPMIは47.9%と、前月から0.9ポイント上昇。生産指数と新規受注指数も大きく改善し、いずれも48%以上となった。
業種別では、電気機械・機器、コンピューター・通信機器・電子設備などで、生産指数と新規受注指数がともに53%を上回り、供給と需要の回復が進んだ。
東方金誠の王青・首席マクロアナリストは、内需拡大策が進むなか、最近ではインフラ投資が明確に加速しており、それが製造業の市場需要増加にもつながっていると分析している。
外需にも明るい兆しが見られた。8月の新規輸出受注指数は50.1%となり、前月から0.5ポイント上昇。7月に世界的なAI関連銘柄の評価額が大きく調整した後も、8月の海外需要は比較的強い弾力性を維持した。
王氏は、新規輸出受注指数が50%を上回ったことについて、現在の中国製造業の景況感を支える重要な要因の一つになっていると指摘した。
また、消費財製造業PMIは49.0%と、前月から1.2ポイント上昇した。生産指数と新規受注指数も大きく改善し、いずれも49%を上回った。
非製造業では、景況感が比較的安定する一方、構造的な前向きの変化も表れた。特にイノベーションを背景とする情報サービス業が高い成長を維持している。通信、放送、テレビ、衛星通信サービス業の商務活動指数は2カ月連続で前月を上回り、2026年3月以降、55%以上の水準を維持している。
インターネット・ソフトウエア技術サービス業の商務活動指数も前月から2ポイント超上昇し、年初来の最高水準を記録した。
中国物流情報センターの武威アナリストは、関連業種が好調な流れを維持していることは、中国のイノベーション主導の活力が引き続き高まっていることを示していると指摘。技術と実体経済の融合を促し、新たな質の高い生産力を育成するための強力な原動力になるとの見方を示した。
今後について市場関係者は、既存政策の効果が一段と発揮されるとともに、追加政策も適度に打ち出され、市場自身が持つ成長力も強まることで、中国経済は安定した改善基調を維持するための条件が整いつつあるとみている。
文韜氏は、製造業は9月にさらに安定・回復に向かうと予想する。中国政府が景気の逆周期調整を強化し、既存政策の効果を十分に発揮させる方針を示すなか、9月から第4四半期にかけて、景気安定と内需拡大に向けた政策がさらに強化される可能性がある。
「両新」(大規模な設備更新と消費財の買い替え促進)や「両重」(国家重大戦略の実施と重点分野の安全能力建設)、「六張網」関連の整備、民生分野への投資などが経済成長の原動力や企業活動をさらに押し上げることが期待されている。
また、自動車、コンピューター、消費電子、繊維・アパレルなど一部の製造業では、秋の需要期である「金九」のシーズンを迎えることから、供給と需要の回復がさらに進むとみられる。
王青氏は、今後についても既存政策の効果を十分に発揮させることが重要だとしたうえで、景気を安定させるための政策を引き続き強化する必要があると指摘している。
8月のPMIは50%を下回ったものの、製造業の景況感は前月より改善し、新動能やハイテク産業の拡大、輸出需要の底堅さも確認された。中国経済は、政策による下支えと新たな成長分野の拡大を両輪として、今後の景気回復を目指す局面に入っている。
(中国経済新聞)
