香港八大で1930人が中途退学 86%が中国本土出身学生

2026/06/23 15:30

香港の大学教育をめぐり、2024/25年度に香港の主要8大学で計1930人の学生が中途退学していたことが明らかになった。このうち中国本土出身の学生は1653人に上り、全体の85.6%を占めた。

もっとも、退学者総数は減少傾向にある。2023/24年度は2106人、2022/23年度は2336人、2021/22年度には2700人を超えており、近年は改善が見られる。一方で、本土出身学生の割合は依然として高く、本土学生の退学率は約11.17%と、香港出身学生の1倍以上に達しているとされる。

大学別では、退学者数が最も多かったのは香港理工大学で422人(前年度比16人減)、最も少なかったのは嶺南大学で65人だった。8大学の中で唯一退学者数が増加したのは香港科技大学で、2024/25年度は245人が退学し、全員が学部生だった。前年度から22人増加している。

本土のトップ層も集まる香港の大学

香港の大学には毎年、中国本土の最優秀層の学生も数多く進学している。実際、高考(中国の大学統一入試)で各省トップ10入りを果たした学生や、「高考状元(首席合格者)」クラスの学生が、北京大学や清華大学への進学を見送り、香港大学医学部や歯学部を選択するケースもある。

香港大学は優秀な本土学生を獲得するため、極めて手厚い奨学金制度を用意している。代表的なケースでは、総額130万香港ドル(約2,500万円)の奨学金に加え、生活費補助も支給され、年間では168万香港ドル(約3,200万円)規模の支援を受けられる場合もある。

こうした破格の待遇は、本土の優秀な学生を強く引き付けており、北京大学や清華大学への進学を辞退して香港大学の医学系学部へ進学する学生も少なくない。

「入学より卒業が難しい」香港の大学

一方で、香港の大学は「入学は難しいが、卒業はさらに難しい」と言われるほど厳格な教育環境でも知られる。

香港大学、香港科技大学、香港理工大学などの主要大学では授業の多くが英語で行われ、学習ペースも非常に速い。中国本土では高考で上位5%以内に入るような優秀な学生であっても、英語によるグループディスカッションや論文作成、厳格なGPA評価に直面し、適応に苦労するケースが少なくない。

特に香港大学では、GPAが1.7を下回ると「Academic Warning(学業警告)」を受ける。こうした警告が繰り返されると退学勧告の対象となるため、学業面で大きなプレッシャーがかかる。こうした環境の中で精神的な負担に耐えられず、自ら退学を選ぶ学生や、大学側から退学を求められる学生もいるという。

学歴詐称問題も影響

退学の背景には学業不振だけでなく、学歴詐称問題もある。

2025年以降、香港大学や香港中文大学をはじめとする複数の大学で、非香港籍学生の入学申請における学歴詐称疑惑が相次いで発覚した。大学側は学術不正に対して厳しい姿勢を取っており、虚偽申告が判明した場合には退学処分や在留資格の取り消し、場合によっては刑事責任を問われるケースもある。

国際化が進む中、適応力が重要に

香港政府は近年、「留学香港」ブランドの強化を進め、非香港籍学生の受け入れ枠を拡大している。今後はさらに国際化が進み、中国本土をはじめ海外からの学生流入も増加するとみられる。

しかし、毎年1000人以上の学生が退学している現実は、香港の大学が決して誰にでも適した環境ではないことを示している。高度な英語力や学習能力だけでなく、自律性や精神的な強さ、異文化環境への適応力も求められる。

厳格な教育と淘汰の仕組みは、学業についていけない学生や不正入学者を排除し、大学の教育水準と学位の価値を維持する役割も果たしている。香港の大学が国際的な評価を維持している背景には、この厳しい競争環境があるといえそうだ。

(中国経済新聞)