中国の化粧品・美容健康産業が成長を続けるなか、上海がその中心地として存在感を高めている。中国国家統計局によると、2026年1~4月の全国の一定規模以上企業による化粧品小売売上高は前年同期比5.6%増加した。なかでも上海の美容・健康産業は好調で、上海市経済情報化委員会のデータでは、同期間の化粧品工業生産額が前年同期比20%超増加し、輸出額も19%以上伸びた。
こうした勢いを象徴したのが、6月13日に閉幕した第12回中国(上海)国際技術輸出入交易会(上交会)だ。会場内の「消費科技・健康科技」展示エリアでは、美容、医療美容(医美)、健康関連技術の最新成果が集結し、上海が持つ「研究開発―成果転化―市場展開」の一体的な産業基盤をアピールした。

会期中は海外バイヤーや専門調達担当者が多数来場し、技術提携や製品調達に向けた商談が活発に行われた。上海発の美容・健康関連企業は、多くの海外案件や意向注文を獲得し、国際市場での影響力をさらに高めている。
展示会では、国産美容・医療美容技術への評価向上を背景に、商談が絶えないブースも目立った。なかでも注目を集めたのが、美容・健康分野のイノベーション拠点「美創静界」が率いる企業連合だ。
同団体は今回、化粧品産業チェーンに関わる24社を集めて出展。基礎研究から製品開発、技術実装、商業化までをカバーする産業エコシステムを紹介した。
「美創静界」は上海市静安区が重点的に育成する産業プラットフォームで、研究開発、企業インキュベーション、成果事業化、市場開拓を一体的に支援している。現在は100社以上の美容・健康関連企業が集積しており、多くが独自技術や専門チームを有する。
また、上海の豊富な医療・研究資源を活用し、Huashan Hospital, Fudan UniversityやShanghai Skin Disease Hospitalなどの医療機関、さらにL’Oréal Chinaといった業界大手と連携。臨床研究や共同開発を通じて、研究成果の市場投入を加速させている。
「美創静界」から生まれた企業の一つが、2025年に上海で設立されたバイオテクノロジー企業のセビタ・バイオテクノロジーだ。同社はバイオ技術とAIを活用した頭皮健康管理サービスを展開している。
同社の劉洋代表は、「スタートアップにとって技術そのものよりも、技術を市場で実用化することが最大の課題だ」と語る。効果検証、使用感評価、規制対応、販売チャネル構築、ブランド信頼の確立など、多くのハードルが存在するためだ。
同社は「美創静界」の支援を受け、医療研究機関や毛髪専門医チームとの連携を実現。科学的データや第三者評価を活用して製品開発を進めた。今回の上交会では、AIによる頭皮診断と育毛ケアを組み合わせた製品を披露し、海外関係者からも高い関心を集めた。

一般的な美容展示会とは異なり、上交会は「技術貿易」を主軸に据えている。美容・健康分野でも完成品の展示販売にとどまらず、基盤技術、革新的処方、スマート製造設備、臨床応用ソリューションなどを重点的に紹介した。
そのため、海外の研究機関やバイヤーとの間では、技術導入や特許協力、共同研究開発、ブランド代理販売など、より高度な協力関係に向けた協議が進められた。
参加企業からは、「従来の美容展示会とは異なり、技術力やビジネスモデルそのものを評価してもらえる場だった」「海外企業との継続的な協業機会を得ることができた」といった声が上がった。
上海の強みは、研究開発から市場展開までを支える産業基盤にある。研究開発面では、中国有数の研究者や医療機関、検査機関が集積。成果転化の面では、上交会や産業コミュニティが研究成果の事業化を後押しする。そして市場面では、中国有数の消費市場と国際的な流通ネットワークを背景に、世界の最新トレンドや技術を取り込みながら、自社ブランドの海外展開を推進している。
「研究開発力」「事業化スピード」「市場活力」という三つの強みを兼ね備えた上海は、中国の「美麗経済」を牽引する拠点として、今後も国際競争力を高めていく見通しだ。
(中国経済新聞)
