中国税関総署が6月9日に発表した統計によると、2026年5月の中国の貿易は、輸出・輸入ともに市場予想を上回る伸びを示した。ドル建てベースでは、輸出額が前年同月比19.4%増、輸入額が27.4%増となり、AI(人工知能)関連産業の旺盛な需要や資源価格の上昇が主な押し上げ要因となった。
専門家は、今回の輸出拡大の最大の原動力として、世界的なAI投資ブームを挙げている。東方金誠のチーフマクロアナリスト・王氏は、「AIインフラ投資の拡大により、半導体やサーバー向け電子部品の需要が急増している」と指摘した。
実際、韓国の5月輸出は前年同月比53.2%増となり、そのうち半導体輸出は169.4%増と単月で過去最高の伸びを記録した。半導体は現在、中国の輸出品目の中で最大の単一カテゴリーとなっており、全輸出に占める割合は約9%に達している。こうした半導体輸出の急拡大が、中国全体の輸出増加を大きく支えた。

また、世界の製造業景況感の改善も追い風となっている。5月のS&Pグローバル・J.P.モルガン世界製造業PMIは52.6と、2021年7月以来の高水準を維持し、10か月連続で景気拡大を示した。
地域別では、2026年1~5月の中国の主要輸出先はASEAN(東南アジア諸国連合)、EU(欧州連合)、米国の順となった。ASEAN向け輸出は前年同期比20.3%増、EU向けは16.4%増と高い伸びを維持した一方、米国向けは2.7%減少した。
さらに、「一帯一路」(Belt and Road Initiative:BRI)参加国向け輸出は15.8%増、アフリカ向け輸出は25.8%増と大幅に伸びており、中国企業の輸出市場多角化が進んでいることがうかがえる。
今後について、聯儲証券は「AI産業チェーンの高成長が続く限り、集積回路やサーバー関連製品の輸出は引き続き堅調に推移する」と分析している。一方で、ホルムズ海峡を巡る情勢や原油高が世界経済に与える影響には注意が必要だとしている。
輸入面では、AI関連需要と国内データセンター建設の加速が半導体輸入を押し上げた。王氏によると、現在、中国の輸入総額に占める半導体の割合は20%近くに達しており、輸入増加の最大要因となっている。
また、国際原油価格の高止まりも輸入額を押し上げた。5月の原油輸入量は減少したものの、輸入額は前年同月比15.3%増となった。
中国税関総署の統計では、2026年1~5月の貿易総額は20兆6800億元(約454兆9600億円、1元=22円換算)となり、前年同期比15.3%増加した。このうち輸出は11兆9100億元(約262兆200億円)で11.8%増、輸入は8兆7700億元(約192兆9400億円)で20.5%増となった。
また、5月単月の貿易黒字は1054億3000万ドル(約16兆8700億円、1ドル=160円換算)に達し、前月の848億2000万ドル(約13兆5700億円)から大幅に拡大した。
専門家の間では、AI関連需要の拡大、新エネルギー車や高付加価値製品の輸出増加が続くことで、中国の輸出は今後も比較的高い成長を維持するとの見方が広がっている。一方で、原油価格や世界景気の動向が貿易成長の持続性を左右する重要な要素となりそうだ。
(中国経済新聞)
