中国工業・情報化部はこのほど、初の「科技型企業インキュベーター」認定リストを公表した。一般認定402機関、トップレベル認定14機関の計416機関が選定され、バイオ医薬、人工知能、集積回路、新素材など複数の新興分野を幅広く網羅している。
今回の認定は、「既存資源の高度化、新規拡充の強化、分類別育成、機能レベルの向上」という方針に基づき実施された。インキュベーターの質の高い発展を促進し、技術成果の事業化と企業育成を後押しすることで、従来産業の高度化、新興産業の拡大、将来産業の育成につなげる狙いがある。
認定区分は一般認定とトップレベル認定の2段階に分けられる。一般認定は一定の基準を満たす機関を対象とし、起業支援サービスの基盤強化を担う。一方、トップレベル認定は国際的なトップ水準を基準に選抜され、技術成果の高度な事業化支援を通じて、産業革新と技術革新の融合を先導する役割が期待されている。
一般認定に選ばれた402機関は、運営主体の適格性、施設条件、運営体制、入居企業数など複数の評価基準を満たしており、スタートアップに対して全段階にわたる専門的な支援を提供する体制を整えている。これにより、研究成果の実用化と産業化の加速が見込まれる。
一方、トップレベル認定の14機関は、「産業との連動性」「サービス機能」「人材の集積」「投資支援」「成長加速」といった点で顕著な強みを持つ。大学発技術の事業化、先端技術の育成、投資と連動した支援、産業特化型の育成などの分野で先導的役割を果たし、全国のモデルケースとなることが期待されている。
北京師範大学の顔振軍教授(北京創業インキュベーション協会理事長)は、インキュベーターの本質的な役割について「技術革新と産業革新の価値を創出し、それを社会に広げていくことにある」と指摘する。産業チェーンの強化・補完・延伸を通じて技術系スタートアップを生み出し、特定分野で強みを持つ企業の育成や産業集積の高度化に寄与する重要な存在だと強調した。また、企業向けサービス市場の高度化を背景に、インキュベーターにも段階別の育成による進化が求められているとし、「政府、業界、市場が連携して発展を進める上で重要な取り組みだ」との見方を示した。
中国のインキュベーターは長年にわたり発展を遂げ、独自の創業支援モデルを形成してきた。これまでに多くのハイテク企業や専門性の高い中小企業を輩出している。現在では、全国の95%以上の県級地域にインキュベーターが整備され、さらに世界50以上の国・地域にも拠点を展開するなど、国内外を結ぶネットワークが構築されている。
工業・情報化部の関係者によると、インキュベーターのイノベーション創出力は着実に向上しており、入居企業の研究開発費比率は7.8%に達し、保有する知的財産は112万件を超える。国家レベルの科学技術プロジェクトへの参画も900件以上にのぼる。また、これまでに累計810社の上場企業を輩出し、科創板に上場した企業の3分の1以上がインキュベーターの支援を受けているという。
雇用創出の面でも効果は大きく、現在、インキュベーターに入居する企業やチームは42万以上、雇用者数は約310万人に達し、そのうち新卒大学生は20万人を超える。
今後、工業・情報化部は政策支援や金融面での連携を強化し、より高水準で専門性の高いインキュベーターの整備を進める方針だ。技術革新と産業革新の一体的推進を軸に、先端技術の事業化をさらに加速させるとしている。
顔振軍教授は「今後、インキュベーターはイノベーションと産業の融合拠点としての役割を一層明確にし、技術系スタートアップの育成を中核に据える必要がある」と述べ、最終的には高度な科学技術の自立・自強の実現に寄与するとの見通しを示した。
(中国経済新聞)
