4月7日、富華国際グループは訃告を発表した。グループの名誉会長であり、中国紫檀博物館館長を務めていた陳麗華(ちん・れいか)氏が、病のため治療の甲斐なく4月5日、北京で死去した。享年85歳だった。
陳麗華氏は、単なる企業家や博物館館長という肩書き以上に、「前中国女富豪トップ」として、そして86年版テレビドラマ『西遊記』で唐僧を演じた俳優・遅重瑞(ち・じゅうすい)氏の妻として広く知られていた。
陳麗華氏の名前は、長年さまざまな富豪ランキングに登場してきた。2011年と2012年には『フォーブス』誌の「世界で最も影響力のある女性100人」に選ばれ、2016年の『胡潤女富豪榜』では505億元(当時のレートで約8000億円超)の資産で中国女富豪トップの座に就いた。2025年には550億元、2026年にも470億元(約1兆780億円)でランキング入りしていた。
彼女の死去により、巨額の遺産の行方が大きな関心を集めている。早い時期の報道によると、陳麗華氏は遺言を公表しており、500億元を超える資産のうち、3人の子女にそれぞれ100億元を相続させ、残りはすべて夫の遅重瑞氏に残す内容だった。最新の資産規模で計算すると、夫が受け取る部分は約170億元に上る可能性がある。ただし、時間が経過しているため、遺言が変更されたかどうかは不明だ。
陳麗華氏はインタビューで、「すべての富は人民に残すべきだ。中国で稼いだお金は中国で使うのが私たち中国人の責任」と語っていた。また、子供たちについては「資質を残してあげたい。彼らに自分で事を成し、学び、代を継ぎ、自立できるようにしてやりたい」と述べ、単なる金銭ではなく自立を重視する考えを示していた。
陳麗華氏と遅重瑞氏の夫婦は、京劇を通じて知り合い、1990年に結婚した。陳麗華氏が夫より11歳年上で、3人の子供を連れていた資産家ということもあり、結婚当初は「遅重瑞はヒモだ」「小白臉(顔だけの男)」などと世間から厳しい目で見られた。しかし、結婚から36年が経った今も、二人の仲は極めて良好だったと伝えられる。夫婦は互いに「董事長」「遅先生」と呼び合い、言葉遣いも常に丁寧な「您」を使い、相敬如賓(互いに敬い合う)の関係を保っていたという。
結婚後、遅重瑞氏は芸能界から距離を置き、陳麗華氏とともに香港に移住。中国紫檀博物館では副館長を務め、妻の事業を支え続けた。現在、富華国際グループの事業は陳麗華氏の子女たちがそれぞれ担っており、息子の趙勇氏が社長としてグループの戦略と業務全般を統括している。
陳麗華氏は一代で富を築き上げ、紫檀文化の保存・継承に尽力した人物として知られる。彼女の死去は、ビジネス界や文化界に大きな損失をもたらした。一方で、巨額遺産の具体的な分配については、遺言の有無や詳細が明らかになるまで、さまざまな憶測が飛び交うことになりそうだ。
彼女が生涯を通じて大切にした「中国で稼いだ富は中国に還元する」という信念が、遺産の行方にも反映されるのか。今後、さらなる情報が待たれる。
(中国経済新聞)
