ここ数年、出勤しない職業「フレキシブルワーク」の道を探求する中国若者が増え続けている。会社に行ってタイムカードを押さなくていい「新しい職業」に従事する人々は今、どんな生活をしているのだろうか。「フレキシブルワーク」が長期的に発展するにはどうしたらよいだろうか。
父親の世代の雇用状況といえば『人が職場に適応し、職場に合わせる』というもので、1つの職場・1つの職種で一生働くことができたが、こうした『職場適応論』は今の発展状況にはあまり合わなくなった。インターネット、人工知能(AI)、ビッグデータ、ハイテクなどが、若者の雇用の可能性を大きく広げ、生存能力を高めた。
北京師範大学珠海分校教育学院の高艶准教授は、「時代が今日の若者にチャンスを与え、若者はオーダーメイドのように自分のためにオリジナルのライフスタイルを作るようになった。たとえば、これまでの時代の雇用といえば『10タイプの間取りのモデルルームから1つを選ぶ』ようなものだったが、今の若者の雇用に対する理念は『自分の家は自分で作る』で、若者は自分らしい生活モデルを構築するチャンスを与えられている」とした。
「新職業」に従事する数人の若者が言及したのは、趣味が職業選択で重要なきっかけになったこと、またストレスを受け入れようとする時の精神的支柱になったことだ。
動画サイト「bilibili」(ビリビリ)で動画をアップする「才疎学浅的才浅」さんは、2021年4月、三星堆遺跡から出土した黄金仮面の製造工程を手作業で再現した動画をアップすると、あっという間にネットの人気者になった。8月には同じく三星堆で発見された金の杖でも再現を試みた。
昔から手を動かして作業をするのが好きだったという「才疎学浅的才浅」さんは、2017年に大学に入ると、大勢の投稿者がビリビリで趣味を共有して楽しんでいるのを見た。余暇時間がたくさんあったので、独学で動画の編集と撮影を学び、作業のプロセスを記録してオンラインで発信した。
「才疎学浅的才浅」さんは大学卒業後、単身で上海に行き、プロの動画発信者になった。「手で作業することへの情熱が、ぼくに夢を追いかける勇気をくれた」という。
「95後(1995年から1999年生まれ)」のメディア関係者の張天朗さんは、ネットの「小宇宙」ポッドキャストサイトでスポーツ解説のポッドキャストを配信し、この誕生から1年ほどの独立したポッドキャストで、ドイツのプロサッカーのトップリーグ「ブンデスリーガ」のドルトムントについてあれこれ語っている。
張さんは、「ポッドキャストをやるのは、いつか大きくなってお金を稼ごうというのではなく、自分が好きだからやっているだけだ。ポッドキャストの番組を録音し終われば、言いたかったことも話せていて、とても心地よい。より多くの人が注目して聞いてくれたらもちろん嬉しいが、誰も聞いていなくてもたいした問題ではない」と話した。
業界報告のデータによれば、中国のネット文学ユーザーは4億6千万人の規模を超え、ネット文学の創作者はすでに累計2130万人を超え、「95後」や「00後(2000年代生まれ)」の若い作者がどんどん参入している。
(中国経済新聞)