百度の株価が急騰、自社開発AIチップが大型受注を獲得

2025/09/19 10:49

中国のテクノロジー企業に対する資本の増加や、国産AIチップのコンセプトが強まる中、百度(Baidu)の株価が大きく上昇している。9月17日の米国市場の終値では、百度の米国預託証券(ADS)が11.34%上昇し、137.83ドルに達した。9月に入ってからの累計上昇率は44.6%に上る。一方、香港市場では同日、百度の株価が15.72%上昇し、131香港ドルを記録。これは過去2年半で最大の1日上昇率となり、9月の累計上昇率は47.1%に達している。

百度の株価急騰の背景には、投資家が中国のインターネット企業によるAI投資に強い関心を寄せていることがある。百度だけでなく、他の主要テクノロジー企業も同様の恩恵を受けている。9月以降、アリババ(Alibaba)の米国株は23.1%、香港株は36.7%上昇し、テンセント(Tencent)の株価も11.4%上昇した。現在、百度、アリババ、テンセントの時価総額はそれぞれ約3,647億香港ドル、3.03兆香港ドル、5.88兆香港ドルとなっている。

アリババやテンセントと比較して、百度の株価はこれまで低迷していた。百度は2023年3月に大規模言語モデル「文心一言(Ernie Bot)」をいち早くリリースし、AI分野での先行者優勢を築いたが、その後はアリババ、バイトダンス(ByteDance)、テンセントなどの競合他社に急速に追いつかれた。さらに、今年初めにDeepSeekが世界的な注目を集め、中国資産の再評価が起こったにもかかわらず、百度の株価は広告事業の不振により明確な恩恵を受けられず、むしろ下落傾向にあった。

7月31日、中国国家インターネット情報弁公室がエヌビディアに対し、中国向けに販売しているH20チップのセキュリティリスクに関する説明と証明資料の提出を求めた。この動きは、中国のデータセンターやクラウドサービス企業が政策リスクと市場ニーズを背景に、国産AIチップへの移行を加速させるきっかけとなった。百度傘下の昆仑芯(Kunlunxin)やファーウェイの昇騰(Ascend)は、中国国内で量産され、大規模な計算クラスタに採用されている数少ないAIチップ設計企業である。特に、ファーウェイなどが米国政府の「エンティティリスト」に指定され国内サプライチェーンへの完全移行を余儀なくされている中、百度の昆仑芯は海外での生産が可能であり、生産能力の柔軟性が強みとなっている。

2023年下半期以降、昆仑芯は外部顧客の開拓を加速させている。8月21日夜、昆仑芯は中国移動(China Mobile)の10億元規模の集中調達プロジェクトで受注を獲得したと発表。これを受けて、百度の香港株は8月22日に0.76%上昇、8月25日には6.25%の大幅上昇を記録した。このような大型受注が、百度の株価上昇の大きな原動力となっている。

(中国経済新聞)