夏休み旅行総括:映画がテーマ旅行を牽引、近距離の海外旅行に人気集中

2025/09/4 17:08

全国の小中高校が新学期を迎え、約2か月に及ぶ夏休み旅行シーズンが終了した。大手オンライン旅行会社(OTA)の統計によれば、長期休暇を活用して国内旅行者の約半数が長距離旅行を選択し、消費構造はより合理的な傾向を示した。「よりコスパを重視し、より満足度の高い旅行を」という姿勢が、この夏の大きな特徴となった。

海外旅行に目を向けると、インバウンド需要は依然として高い伸びを示し、アウトバウンドも好調。特に日本、タイ、韓国、マレーシアといった「3時間圏内」の国々が人気を集めた。

旅行会社「途牛」のデータによれば、出発地の構成は北京、上海、南京、成都、広州、杭州、深圳、重慶、武漢、西安といった一線および新一線都市の利用者が56%近くを占めた。

一方で、地方都市からの旅行需要も加速。二線以下の都市からの利用者数は前年同期比で約15%増加した。特に遵義、楽山、貴陽、石家荘、昆明、西寧、済寧、秦皇島、金華、長春などからの旅行者が大幅に増えており、人気観光地が新しい遊び方を提案する一方で、小規模ながら新興の観光地が急浮上する動きが目立った。国内旅行では北京、上海、三亜、南京、成都、杭州、広州、重慶、貴陽、西安が依然として上位にランクインした。

若年層の動きも顕著だった。旅行予約サイト「飛猪(フリギー)」によると、学生層の旅行参加は引き続き増加しているが、大学生の「短時間・低コストで各地を巡る“弾丸旅行”」の人気はやや減少。代わりに、旅行の質や体験の深さを重視する傾向が強まり、平均予約価格は前年比で15.1%上昇した。

「去哪儿旅行」によれば、18歳~22歳の大学生による国内外航空券予約比率はいずれも前年比で10%以上増加し、特に国際線予約は42%増と最も高い伸びを示した。なかでも三線以下の都市出身の大学生はホテル予約が前年比40%増と、業界平均を大きく上回った。

今夏の旅行市場を特徴づけたのは、エンタメやスポーツと観光の融合である。人気ドラマ『凡人修仙伝』の舞台となった新疆ナラティ景区は、直近1か月で検索熱度が68%増加。携程の統計では、夏休み期間中の新疆旅行注文数が前年比20%以上増え、ウルムチは11%の増加となった。映画・アニメ・スポーツが観光を刺激した。

さらに、国産アニメ『浪浪山小妖怪』の影響で、山西の古建築が再注目された。永安寺、仏光寺、晋祠水鏡台、磧口古鎮など作品に登場したスポットの検索数は380%急増。大同市では夏季観光収入が前年比40%以上伸び、景区チケット販売数も43%増加し、急成長都市の上位3位に躍り出た。「一つのアニメで一つの都市を訪れる」という“感情消費”の新しい形を示している。

また、NBAスター・ステフィン・カリーのアジアブランドツアーが8月に重慶で開催され、イベント期間中の訪問者数は前期比で6倍に。来訪者の8割以上は市外からで、周辺の高級ホテル予約は前年同期比714%の急増となり、「スポーツ+観光」モデルの注目度を裏付けた。

同程旅行のデータによると、国内主要都市で高級ホテルの予約数が前年比40%以上増加し、経済型ホテルの伸びを上回った。また、宿泊日数も全体的に延びる傾向があり、過夜観光の拡大を示している。深圳、広州、成都、上海、北京、重慶、杭州、西安、東莞、長沙などが人気都市で、特に親子向け客室はピーク期に「一部屋も取れない」状況となった。宿泊に関して高品質ホテルの需要拡大傾向だ。

夏休みシーズンを経て価格は一旦落ち着きを見せているが、国慶節と中秋節が重なる秋の大型連休を控え、再び旅行需要が高まる見込みだ。携程の予測では、連休期間中のホテル平均価格は通常期と比べて3~5割上昇すると見られる。出国予定者の動きも早く、ここ1か月でビザ申請サービスを利用した人は前年同期比30%近く増加した。

(中国経済新聞)