7月28日、中国仏教協会は公式声明を発表し、嵩山少林寺の住持である釈永信(俗名:劉応成)の戒牒を抹消すると決定した。
戒牒とは、仏教の僧侶が正式に受戒し、僧侶としての資格を認められたことを証明する公式な文書である。
この決定は、釈永信が刑事犯罪および仏教の戒律を著しく違反した疑いで多部門による合同調査を受けていることを受けたものだ。少林寺管理処が7月27日に公表した通告によると、釈永信は寺院資産やプロジェクト資金の横領、複数の女性との長期にわたる不適切な関係および私生児の存在という重大な疑惑に直面している。これらの行為は「極めて悪質」とされ、仏教界の名誉を著しく傷つけ、出家者の形象を損なったとして、中国仏教協会は釈永信に対する法的措置を断固支持する立場を表明した。

釈永信は1965年9月6日、安徽省潁上県に生まれ、1981年に16歳で少林寺に出家した。1987年に師である行正方丈の死去後、少林寺管理委員会主任に就任し、1999年には第30代住持に昇進した。彼は河南省仏教協会会長や中国仏教協会副会長を歴任し、第9~12期の全国人民代表大会代表としても活動した。また、少林寺の商業化を積極的に推進し、「仏門CEO」と呼ばれるほどのビジネス手腕を発揮した。1998年に設立した河南少林寺実業発展有限公司を皮切りに、少林寺は文化観光、医薬品、飲食、服飾などの分野に事業を拡大。2022年までに706件の商標を登録し、観光収入や海外公演で数十億元規模の収益を上げた。
釈永信に対する疑惑は、今回が初めてではない。2015年には「釈正義」と名乗る人物が、釈永信の私生活の乱れや資産私物化を告発。複数の女性との関係や豪華な生活を指摘したが、当時の調査では「証拠不十分」とされ、告発は沈静化した。しかし、2025年7月26日、複数の自メディアが釈永信が当局に連行されたと報じ、疑惑が再燃。7月27日、少林寺管理処は公式に調査開始を発表し、横領や戒律違反の具体的な疑惑を明らかにした。
(中国経済新聞)