7月に入り、うだるような酷暑の中、上海ではひとつの花が話題に上り始める。蓮である。蓮の花が咲くと上海にも本格的な夏がやってくる。
馴染みの公園の蓮池は早朝から昼前にかけて、淡いピンクや純白の蓮の花があちらこちらで可憐な花弁を広げ、その横で睡蓮の可愛らしい細い花弁も精一杯に花びらを伸ばそうとしている。スマホや本格的な一眼レフカメラでその命の一瞬の輝きを切り取ろうとする人々の姿も目立つ。開花までもう少しというつぼみ、すでに開花して枯れ始め花托があらわになった花、さらには青々とした大ぶりの葉の真ん中でころころと転がる水晶のような水玉。そして、その下の泥水へ延びる茎と水底にある見えない根っこ。蓮の表情は実に多様だ。