上海で蝉の大発生、市民の不眠を招く騒音と「蝉尿」問題

2025/07/21 17:30

「深夜2時になっても蝉鳴の騒音が止まらない!」上海市民の李さんが微信のモーメンツに投稿したこの言葉は、今夏、多くの市民が抱える悩みを象徴している。例年、夜になると静まる蝉の鳴き声が、今年は深夜まで続き、市民の睡眠を妨げている。さらに、街路樹の下では「晴れた日に小雨」と形容されるベタベタした液体が問題となり、上海の街は「蝉災」に見舞われている。

上海市の監視データによると、今年の蝉の鳴き声の強度は例年に比べ40%増加し、クロウマゼミやヒグラシなど複数の種類の鳴き声が重なり、80デシベルを超える騒音を発生させている。通常、雄の蝉は日中に求愛のために鳴くが、今年は種群密度の急増による競争圧力から、夜間まで鳴き続ける異常事態が観察されている。1本のプラタナスの木に100匹以上の雄蝉が集まる場合、各個体はより長く、より大きな鳴き声で交配の機会を奪い合っている。

街路樹から滴り落ちる「蝉尿」と呼ばれる液体も、市民を悩ませるもう一つの問題だ。この液体は、蝉が刺吸式口器で樹液を吸い取り、自身の体重の300倍もの量を1時間で摂取した結果、90%が糖を含む排泄物として排出されるものだ。南京西路沿いの樹木では、1本あたり1日平均5リットルの液体が滴り落ち、歩道を粘つく状態にしている。ネット上では「蝉の尿」と揶揄されるが、これは蝉が高速代謝を維持するための副産物である。

華中農業大学の周興苗准教授は、今年の蝉の大発生を「大年」現象と説明する。クロウマゼミ(3~5年周期)やヒグラシ(2~4年周期)など、異なる種類の蝉の地下での発育周期が重なり、今年は複数の主要種が一斉に羽化した。この現象は2016年や2020年にも記録されているが、今年は3つの主要種が同時に大発生し、特に顕著だ。

気象データによると、昨冬のマイナス1℃から5℃の低温が続き、春季の土壌湿度が60%以上だったことが、若虫の出土に最適な条件を作り出した。現在の35℃を超える高温は直接的な原因ではないが、成虫の代謝を加速させ、鳴き声の頻度を常温時より30%高い120回/秒にまで引き上げている。

市民の間では、「蝉のせいで眠れない」「道がベタベタで歩きにくい」といった不満の声が上がっている。SNSでは「蝉のコンサートが夜通し続く」「蝉尿で靴が台無し」との投稿が相次ぎ、ユーモアを交えた不満も見られる。一方で、専門家は蝉の大発生が自然現象である以上、完全に抑えるのは困難だと指摘。绿化部門は、樹木への薬剤散布や粘着トラップの設置を検討しているが、環境への影響を考慮し、慎重な対応が求められている。

(中国経済新聞)