LVが船型の店舗をオープン 上海が「スタートアップ」の地に選ばれる理由は

2025/06/28 13:30

6月25日深夜、上海市の静安区呉江路に、ルイ・ヴィトンのシンボルとなる巨大な船のような建物「ザ・ルイ」が披露された。「ビジョナリー・ジャーニーの展示」というコンセプトで、港湾都市・上海を「東洋の玄関口」と見立ててデザインしたもので、「広く受け入れ」という都市の風土に応え、新しいものを受け入れるメトロポリタンのムードをアピールしている。

多額の投資で造られたこの建物は面積1600平方メートル(長さ114.5メートル、高さ30メートル)で、マルチスペースの3階建て構造となっている。1階と2階ではルイ・ヴィトンの展覧会「ビジョナリー・ジャーニー」が催され、3階にはカフェが設けられて、「カフェ+展覧会+ショップ」という大胆な融合を実現している。オープンは6月26日で、6月28日から一般開放される。

この建物の真向かいには、中国におけるスターバックスの代表的な店舗「リザーブ・ロースタリー」がある。上海ではさらに、アップルやディズニー、レゴ(LEGO)といった海外の企業が1号店やフラグシップ店の開設、新商品の発売を実施している。またレジャー関連でも、「レゴランド」が間もなくオープンし、ハリーポッターのテーマパークも立地する予定である。

上海が、海外の有名企業の「スタートアップ」の地に選ばれる理由は何か。

まず、上海は国際性が強いことが魅力であり、特に新しい事業やモデルを受け入れる風土がある。新たな時代で消費者のニーズも多様で個性的になっており、中でもZ世代やミレニアル世代は単なる商品機能ではなく商品の持つ文化や感情的な価値にこだわる傾向が強く、こうした傾向は文化の持つ意味や商品価値を伝えようとする海外企業に大変マッチしている。上海は消費力全般や海外企業の認知度も非常に高く、文化や商品価値への評価や伝達力も相当なものであり、海外の各社が進出するだけの土壌が備わっている。

これとともに、交通の便利さや飲食、宿泊などの受け入れ体制も必要となっており、特にテーマパークなどの行楽の場はなおさら観光客を迎える設備が必要となる。上海は国内外の航空路線や鉄道、道路、あるいはクルーズ船など、交通インフラが整っており、世界各地から迎え入れられるだけの能力がある。市の観光当局によると、2024年、外国人の訪問者数は前年より84%も増えてのべ670万人以上と国内トップを維持し、インバウンド消費額は同じく80%近く増えて過去最高の110億ドルであった。さらに2025年第1四半期の外国人の訪問者数は前年同期比37%増ののべ170万人以上となっている。

「スタートアップ」とは、1号店オープン、あるいは初のイベント類の開催や商品の初披露などを指し、「インバウンドの玄関口」となることもその一つである。海外企業は上陸する際に、市場規模だけでなく消費のトレンドや制度的メリット、イノベーション環境などを総合的に勘案する。上海は、産業構造の形成や多元的なシチュエーション、ビジネス環境、資源など確保といった様々な面で優勢を維持し、「スタートアップ」を後押しする形になっている。

(中国経済新聞)