トヨタのレクサス新エネルギー車工場、上海で本格始動へ

2025/06/27 18:04

6月27日午前、上海市金山区にて、トヨタ自動車の高級ブランド「レクサス」の新エネルギー車(NEV)生産拠点の建設が正式にスタートした。澄み渡る青空の下、テープカットとともに執り行われた起工式は、トヨタにとっても、中国自動車産業にとっても、大きな節目となる一日だった。

この新たなプロジェクトは、2026年8月の完成、そして2027年の量産開始を予定している。年間の生産能力は10万台に及ぶ計画で、中国市場におけるトヨタの電動化戦略において、重要な一歩と位置付けられる。

レクサス(上海)新能源有限公司の登録資本金は1,071億円(約50億元)に達し、敷地面積はおよそ113万平方メートルという広大な規模を誇る。トヨタはこのプロジェクトを通じて、電動化とスマート化を柱とした新たな企業戦略を中国で展開し、同国市場と世界市場の双方に適応した次世代電動車の開発・製造に力を注ぐ構えだ。

実は、この動きの布石はすでに今年4月に打たれていた。上海市政府とトヨタ自動車は戦略的パートナーシップ協定を締結し、さらに金山区政府とトヨタ中国が協力覚書を交わし、金山区新金山発展公司とレクサス(上海)新能源有限公司が投資サービス協定を締結している。こうした多層的な協力体制のもと、今回の工場建設が実現したのである。

新工場が稼働すれば、上海にとっても多くの恩恵がある。まず、NEV分野における生産能力の増強によって、上海は全国の自動車製造の中心地としての地位をより強固なものとするだろう。また、巨大な生産拠点の運営に伴い、部品供給や物流、ソフトウェア開発など、多くの関連産業が周辺に集積されることが見込まれている。これにより、雇用の創出や地域経済の活性化が促されるだけでなく、技術革新や人材育成の場としても機能することが期待されている。

上海市の関係部門も、プロジェクトの円滑な進行を後押しするため、「建設におけるあらゆる困難に対応し、予定通りの完成と稼働を全力でサポートする」との姿勢を示している。こうした行政の協力体制も、トヨタのような世界的企業にとっては、大きな安心材料と言えるだろう。

このレクサス新エネルギー車プロジェクトの始動は、単なる一企業の進出ではない。それは、世界最大の自動車市場である中国において、新たな電動車時代の幕開けを象徴するものであり、トヨタが中国の「双炭目標」(カーボンピーク・カーボンニュートラル)達成に向けて本格的に貢献するという意思表示でもある。

今後、この工場を起点として、より多くの自動車関連企業が上海に集まり、NEV産業のエコシステムがさらに強化されていくことが期待される。トヨタの挑戦は、今まさに上海の地で新たな未来へと加速し始めている。

(中国経済新聞)