自営業者の買い控えが背景に、中国の軽型商用車販売は24%減少

2025/06/25 11:12

中国汽車工業協会(中汽協)が発表した最新データによると、2024年の中国の軽型商用車(LCV:Light Commercial Vehicle)販売台数は272.5万台(輸出含む)にとどまり、2020年比で24%の減少となった。これは商用車全体の70%、自動車全体の8.7%を占めている。

内訳を見ると、軽・微型トラックの販売台数は233万台で、貨物車全体の69%を構成。一方、軽型バス(ミニバンなど)は25.7万台から43.4万台に拡大し、堅調な伸びを示した。

また、2024年時点での電動化率は、軽・微型トラックが12%、軽型バスが56%とされ、バス分野での電動化が先行している状況が浮き彫りとなった。

中国汽車戦略・政策研究センターの高級エンジニアである呉松泉氏は、軽商用車市場の細分化と将来性について次のように分析している。

「ピックアップトラックは『中国ではニッチ、世界ではメジャー』な存在。世界市場では年間600万台規模(市場シェア6.7%)であるのに対し、中国では28万台(約1%)に過ぎない。しかし現在、中国製ピックアップは『商用・家庭用・レジャー用』の多目的車へと急速に転換しており、農林業や地方物流での活用が拡大。さらに、自家用レジャーやオフロード改造需要も増え、改造業界や観光業との連携による新たな成長点が期待されている。」

また、軽型バスは中国のバス市場の約80%を占める中核セグメントであり、都市交通・物流インフラの整備や電動化技術の進展、さらにはスマートシティ構想などの政策的追い風が、今後の成長を後押しするものと見られている。

一方で、軽型商用車市場の課題として、購買層の構成と経済環境の影響が指摘されている。

調査によると、購入者のうち70%以上が個人または個体商人、物流企業は約20%、政府・法人が10%未満を占めており、非常に価格感度の高い市場である。特に、軽・微型トラックの購入層は、主流の電動モデルが同等のガソリン車の1.5~2倍の価格であることから、買い替えや更新への意欲が低下している。

現在、中国国内の軽型商用車保有台数は2400万台を超え、2000万以上の家庭が関連しているとされるが、使用者の多くが「車両の強制廃車(15年または50~60万km)まで乗り続ける」傾向が強く、新車需要の喚起には課題が残る。

今後、経済環境の回復とともに、低価格で高効率な電動軽商用車の普及促進策や、中小事業者向けの補助金制度などが重要な施策となる見通しである。

(中国経済新聞)