香港の化粧品販売会社、SASA(ササ・インターナショナル=莎莎国際)(00178.HK)は、通信販売など新たな小売り形態の急成長や様々な統合店の出現などによる競争の激化を受け、ひところの勢いが衰えて事業の見直しに乗り出している。
SASAは、先ごろ発表した2024/2025の年間決算(2025年3月31日まで)で、中国本土の店舗を6月30日までにすべて閉鎖すると表明している。
SASAは、1997年に香港証券取引所で一部上場を果たし、2005年に中国本土へ上陸した。現在は香港や中国本土のほかマカオ、東南アジアでも事業展開しており、スキンケア用品、香水、化粧品、ヘアケア用品、ボディケア用品、美肌健康食品、家庭用美顔器など600以上の品目を販売している。

2025年3月31日現在で店舗数は174店あるが、この1年間は売上高が前年より9.7%減って39.42億香港ドル、純利益は同じく64.8%減の7697万香港ドルであった。
決算報告によると、中国本土では2025年5月31日までに9店舗を閉鎖しており、残りの9店舗も6月30日までにすべて閉鎖するという。データを見ると中国では「オンライン優勢」という傾向が鮮明であり、2024/25年度の売上高は10.5%減の5.21億香港ドルで、このうちオンライン販売が80.3%にあたる4.18億香港ドル、実店舗では19.7%の1.03億香港ドルとなっている。
SASAは中国本土での店舗閉鎖の理由について、「オンライン販売は売上全体の80%以上に達している上、利用者も一段と増えている。また今の店舗の数では規模による経済効果が望めない」と説明している。今後は一段とオンライン業務に力を入れて、人気のSNSやデジタルチャネルでPRを強化し、ブランドの露出や競争力を引き上げていくという。
SASAは現在、店舗の閉鎖に伴う従業員や店への補償金および在庫処理の費用として3000万香港ドルを計上している。
(中国経済新聞)