中国のイノベーションや製造の拠点であり、輸出の一大拠点でもある広東省深セン市は、今年3月の輸出額がベトナムを下回った。

中国からすればショッキングな知らせである。

深センの税関によると、今年第一四半期の輸出額は前年同期を2.6%下回る4076億元で、うち3月については前年比14%減の約1200億元であった。

一方、ベトナムの税関によると、同じく第一四半期の商品輸出額は前年同期より13.4%増えて891億ドル（およそ5842億元）、うち3月は前年比14.8%増の347.1億ドル（およそ2275.7億元）であった。

イギリスBBCはこれについて、「ベトナムは1億近くの人口を抱える国である一方、人口1700万人余り、技術革新および製造業の重要拠点である沿海都市の深センは、ここ30年間、貿易額が中国の都市別でトップに君臨している。ところが、この第一四半期の輸出総額は、ベトナムが深センを277.5億ドルも上回り、うち3月については深センのほぼ2倍に達している。輸出について、ベトナムは規模も伸び幅も深センを超えている」と報道している。

深センの輸出の落ち込みについて、現地にある中国総合開発研究院の地域発展計画研究所で副所長を務める王振氏は、「コロナの影響や需要の伸び悩みが原因である。2月にコロナが急拡大した香港との物流が停滞したことで、輸出は大打撃を受けた」と表明している。

逆にベトナムの輸出が伸びた理由については、まずコロナの影響が深刻であった分野で経済活動が本格的に再開し、生産が急回復して経済指数が好転したこと、また各社におけるこれまで大量の受注残が経済指数において当期分に計上され、数字の上で大きく回復したこと、さらに国外資本の誘致を進めており、企業の参入やビジネス面での取り組み、安価な労務費といったメリットを備えていることが挙げられる。

ベトナム商工省による2022年第一四半期の統計を見ると、繊維製品についてアメリカが最大の輸出先となり、去年の同じ時期より25%近く増えて43.6億ドルとなっている。

（中国経済新聞）