中国の玩具メーカー「ポップマート(Pop Mart)」が展開するLABUBU人形が世界中で爆発的な人気を集める中、生産能力不足や転売問題への対応に追われている。6月18日、ポップマートは抖音(中国版TikTok)のライブ配信や複数のオンライン販売チャネルで「前方高能」シリーズの補充を行い、予約販売を開始した。発送は9月下旬まで延びている。

ポップマートの関係者によると、「前方高能」シリーズは最近、グローバル市場で驚異的な人気を博している。しかし、転売ヤーによる買い占めや偽造品の流通など、消費者の購買体験を損なう問題が浮上している。これを受け、同社は販売プロセスの最適化を図り、オンライン予約販売を導入した。
「前方高能」は、今年4月に発売された第3世代のLABUBUビニールフェイスぬいぐるみで、中国から東南アジア、欧米へと広がる購買ブームを巻き起こした。供給が需要に追いつかず、入手困難な状況が続き、二次市場では高額取引が横行。さらに、偽造品ビジネスに参入する工場や貿易業者が急増している。
ポップマートの主な生産拠点は、中国の玩具生産の中心地である広東省東莞にある。しかし、世界的な需要の高まりを受け、輸出ルートを持つ地元の工場や貿易業者が偽造品の製造に乗り出している。東莞の偽造品製造業者の一人は、すでに海外向けに3000個のLABUBUを出荷したと明かし、中小規模の業者が偽造ビジネスに参入していると語った。

偽造品の流通は深刻化しており、各地の税関は偽造LABUBUの摘発を強化している。6月だけで、寧波税関はブラインドボックス2350個、ぬいぐるみ4410個、キーホルダー9400個、レインコート495個、櫛1200個を含む泡泡玛特の偽造品を押収。珠海税関も2万点以上の侵害商品を摘発した。

ポップマートの関係者は、輸出時の侵害行為を防ぐため、各地の税関と協力体制を構築していると説明。さらに、近日中に新たな偽造防止技術を導入する予定だと明らかにした。
あるアナリストは、「これほど世界的な需要に直面した中国の消費財企業はこれまでなかった」と指摘。LABUBUの人気は、ポップマートにとって大きなチャンスであると同時に、生産・流通の課題を突きつけている。
(中国経済新聞)