香港の人気芸能人、鄭中基(ロナルド・チェン、53歳)が18日、公式声明を通じて、2番目の妻である余思敏(サミー・ユー、45歳)との離婚手続きを進めていることを発表した。このニュースは中国のネット上で大きな反響を呼び、議論を巻き起こしている。
鄭中基と余思敏は2011年7月にひっそりと結婚し、1男1女をもうけた。長年にわたり、2人は香港芸能界でも安定した愛情深い夫婦として知られ、ゴシップとはほぼ無縁だった。しかし、2025年4月、両者がソーシャルメディアで互いのフォローを解除し、余思敏の45歳の誕生日にも鄭中基が姿を見せなかったことから、離婚の噂が急速に広まった。

香港メディアは連日この話題を取り上げ、さまざまな憶測が飛び交った。特に注目を集めたのは、鄭中基が離婚協議で余思敏に対し、月額わずか8000香港ドル(約7400人民元)の養育費しか提示していないという報道だ。この金額に対し、ネットユーザーからは強い批判が巻き起こった。2人の子どもの通うインターナショナルスクールの年間学費は28万香港ドルに上り、乗馬レッスン(月2万香港ドルと言われる)やその他の生活費を考慮すると、8000香港ドルでは到底足りないと指摘された。「ケチすぎる」「14年の夫婦の情を無視している」と、鄭中基への非難が殺到した。
18日の声明で、鄭中基は「月額8000香港ドルの養育費」という報道が「事実と大きく異なる」と強く否定した。彼は、養育費を含む具体的な金銭的取り決めは現在法的手続き中であり、メディアの報道は憶測に過ぎないと強調。また、過剰な報道が自身や子どもたち、家族に悪影響を及ぼしているとし、声明を通じて事実を明確化する意向を示した。この声明は余思敏の同意を得て発表されたという。
子どもの養育権については、声明で詳細は明かされなかったが、両者がこの問題で激しく対立しているとの情報が以前から流れている。鄭中基の父親で、音楽業界の重鎮である鄭東漢氏は、孫たちが鄭家に引き取られることを望んでいると報じられている。しかし、香港の法律では「子どもの最善の利益」が優先されるため、養育権の最終的な決定は裁判所の判断に委ねられる。
離婚に至った原因について、声明では触れられなかったが、香港メディアのこれまでの報道から、いくつかの要因が浮かび上がる。2024年8月、鄭中基は10年間ともに仕事をしてきた女性经纪人、何慶湘との契約を突然解除し、抑うつ症とアルコール依存症の治療のため米国へ渡った。この一連の行動は、余思敏が主導したとされており、何慶湘と鄭中基の「親密すぎる関係」を断ち切る狙いがあったとされる。
ところが、何慶湘は解雇後、映画会社に転職したものの、裏では引き続き鄭中基の仕事を手伝っていたことが発覚。これが余思敏にとって耐え難い「裏切り」となり、夫婦関係に決定的な亀裂を生んだと報じられている。さらに、米国での治療期間中、鄭中基は仕事への未練から治療に消極的で、余思敏との対立が深まった。加えて、余思敏が芸能界への復帰を試みたものの思うように進まず、2人の生活の重心が次第に離れていったことも、関係悪化の一因とみられる。
鄭中基の離婚発表は、ネット上で賛否両論を巻き起こしている。「8000香港ドル報道」を否定したことで一部の批判は収まったものの、「なぜ突然離婚に至ったのか」「子どもたちの将来はどうなるのか」と、疑問の声も多い。鄭中基は声明で、司法手続きを尊重し、今後はこの件についてコメントしない方針を示した。一方、余思敏も6月17日の家事裁判所での審理後、メディアの質問に対し沈黙を守り、コメントを控えている。
鄭中基は過去、香港女優の蔡卓妍(アサ)との4年間の秘密結婚と離婚で注目を集めた経歴を持つ。今回の離婚は彼にとって2度目となり、芸能界やファンにとって衝撃的な出来事だ。子どもの養育権や最終的な金銭的取り決めがどうなるのか、裁判所の判断が注目される。
(中国経済新聞)