偽の米国学歴で香港大学に入学 中国本土出身の「ミス・深圳」が実刑判決

2025/05/10 11:31

2025年5月8日、香港・沙田裁判所は、偽造された米コロンビア大学の学歴証明を用いて香港大学に入学した中国本土出身の女性・李思萱(リ・シケン)被告(28歳)に対し、懲役240日(約8ヶ月)の実刑判決を言い渡した。

裁判所によると、李被告は2020年に中国・中南財経政法大学武漢学院を卒業。その後、38万元(約800万円)を中国国内の留学仲介業者「学術帝」に支払い、名門校への“保証入学”を目的に渡航準備を進めていた。

仲介業者は、李被告に米国・コロンビア大学の短期オンライン講座を履修させた上で、架空の学士号を持つように“パッケージング”し、2021年12月、香港大学(HKU)の応用言語学修士課程へ申請を行った。HKUは2022年4月に条件付きで彼女を受け入れ、さらに同年、仲介業者を通じて提出された偽造の成績証明書と卒業証明書を正式なものと信じて、本採用を通知した。

李被告は2022年9月に入学を果たしたが、2024年3月、外部から「虚偽の学歴で入学した人物がいる」との通報を受け、香港大学がコロンビア大学に照会を行った結果、李被告が同大学に在籍・卒業していないことが判明。2024年6月、香港大学は李被告との面会を求めたが、彼女はこれを拒否。同年7月に学籍が取り消された。

その直後、李被告は香港を出国しようとしたが、2024年7月20日、香港の入境管理当局により空港で拘束され、詐欺と偽造文書の所持により逮捕された。

注目すべきは、李被告が虚偽の学歴が発覚した後もSNS等で積極的に活動を続けていたことである。2024年7月には「ミス・ユニバース中国大湾区大会」で深圳市代表に選ばれ、「香港大学の学生」としてメディアに登場。保釈後には、マカオの映画祭に出席し、香港での美人コンテストの主賓も務めていた。

裁判で担当裁判官は「彼女の不誠実な行為は長期にわたり、一貫して虚偽を重ねてきた」と非難し、実刑判決を下した。

この事件は、2024年以降、香港の大学において中国本土の学生が偽造学歴を用いて入学を試みた事例が相次いでいる背景の中で起きた。一例として、23歳の男性が偽のIELTSスコアで香港教育大学への入学を申請し、2024年11月に禁錮3ヶ月の刑を受けた。24歳の女性がコーネル大学の偽造卒業証書で香港大学に入学し、2024年10月に禁錮17週間の刑を受けた。

香港保安局の卓孝業局長によると、2022年から2024年の間に偽学歴関連で逮捕された人物は25人に上るという。香港法の下では、虚偽の学歴証明を知りながら使用・作成した場合、「詐欺」「偽造文書の所持・使用」などの罪に問われ、最長14年の懲役刑が科される可能性がある。

(中国経済新聞)